RECORD

Eno.8 スフェーンの記録

Floktale:存在しない人々についての記述

【これらはfictionです】




──ばァか。fictionなんかじゃねえ。


【彼らの存在は否定されます】



──クソが。否定すんな。


──あるんだよ、ヘンテコな力が。この世界には。




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彼らの記述は多くは残されていない。
一般的に表立つことはなく、そして今後にその予定もない。
しかし彼らが存在するという事実は、彼らと、彼らを囲う人々と、その人々が信仰する都市の機械のみが知る事実であった。
彼らの始まりはどこにも記されていない。
彼らは徹底的にぼかされている。

彼らの発見は、都市内で急な火災やら、水害やら、そう言ったことが起き始めたことだった。
その度に処罰を与えていたが、どうやら、それらの大半の原因は赤子から1才の子供だという。



「急にうちの子が火を出したの」



「子供と遊んでたら、あそこに雷?だっけか?が落ちてて」



「ご飯を食べてたのにパッと見たら、ものが凍ってて、あの子も凍ってた」




──全て例外なく処分済み。

しかし件数が毎年何件か。
──つまり、生まれた子供のうちの何人かは、必ずそういった力を持って生まれてきていた。
それが異常ではなく正常となり始めていた。

魔法。異能力。
PSI。
それらに分類されるような力を持つ子どもたちが生まれる星となっていた。


──はじめは、その子供たちもなんら不自由なく育てるための策が練られていた。
異能力が認められた時点で彼らは親元から回収され、マザーの作ったゆりかごに入れられる。
その場所で観察されながらも、大人として育つになんの不自由もないように。
マザーコンピュータは慈悲深い。
全ての人々が種として穏やかな日常を暮らせることを考えている。
他と異なる点があるからといって排除するには至らない。
それは暴力であり、差別的なことであるから。
なに、異能力の一つや二つ。使い道ならいくらでもある。
この広くて限られた都市は、常に資源に悩まされているから。
それだけパワーがあるのならば──


しかし。しかし。そうそううまくはいくまいね。



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【過去の古いデータになります。確証性にかけるものです】




(室内で遊ぶ子供たち。そのうちの一人が近寄ってくる)

「マザー!マザー!ぼくね、今日は炎上手く制御できたんだよ」



「それは良かった。それは大変喜ばしいことですね」



「おほしさまが教えてくれたの!」



「……?それはどういう……」



「?あのね、マザーにはおしえたげるね…」



(子供は声を顰める)

……ぼくたち、みんな星の声が聞こえるんだよ」



「昨日はマザー、外の空気が綺麗だからって、天井開けてたでしょ」



「そこからね、おほしさまの声が聞こえるんだよ。キラキラ、キラキラって輝いて、それが音として聞こえるんだ」



「ほかのこもみんなそーだって」



「でね、初めはよくわかんない音ばっかりだけど、少しずつ難しいけど、僕のわかる言葉で話してくれるようになるんだよ」



「そしたらね、なんだかよくわからないけど、ううんと力が強くなったんだよお」



(じーんって、この腕が熱くなるんだよ、熱を持って、僕すごく動ける!って)


「ね、マザー!すごいよね」





「……」


「………」


「…………なんでこと。あなたたちも、星と交信ができるのですか



──映像はここで終わっている。




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!彼らは危険分子です。星に災害を再びもたらす可能性があります。



排除を!排除を!排除を!



もしうっかり外の星と対話ができて」


また災害をもたらす流星群を呼んだらどうするの」




刺したら、この星は持ち堪えられない。

何より私たちが作ったこの城が崩れ去る。


ああ。それさえなければよかったのに!!



──彼らの存在は、本当に誰も知らぬ秘匿と化した。
藪は藪の中へ。





「……」



「途中で止められてるから、結局の正体は分からずじまいってわけだった」





──なんてね、それは嘘だ。
なぜこの力を持ち合わせて生まれてくるのか。
なんで星の声が聞こえるのか。


まあ、しばらくは、底に。