RECORD
Eno.599 亜久津 魔沙兎の記録
改造人間乱造世界の記録10・完結
※人造実験等の非人道的行為の描写があります。
苦手な人は閲覧を避けてください。
第7席『戦車』「轟」。
この激しい内乱が終わるまでただ一人遠くの倉庫から状況を見ていた男。
崩壊した国は生き残った貧民に任せよう、そこから先は託す。
そのための一先ずの食料や住居は電脳人間達が牽引して調達したし、
この内乱で平和ボケした平民や富豪からも奪い去った。
あとは彼等の人生だから、こちらから関わることはない。
それは電脳人間達もまた同じ。
電脳人間達はどのみちこの国から去ることを決めていたから、
もうこの国に対して積極的に関わることはないだろう。
残った量産型の管理・保護は捕虜にした研究員が管理すると約束した。
一時的な仲間ではあったが国に残すのならば、電脳人間の管轄ではない。
優秀な占い師だった第18席『月』の「ユエ」は告げていた。
「私達が全員生き残ることは出来ない。だけどこの戦には意味があるわ」
電脳人間達は最初から腹を括ってこの戦に挑んだ。
あるいは生き残りたかったけど生き残れなかったものなど、
とにかく全20人が全員生き残り帰ることはないと占わずとも予測できていた。
生き残った電脳人間を回収し、別世界へ運ぶのが
チームの「運び屋」だった『戦車』の最後にして最大の仕事。
生き残った者は、ここが国によって破壊される前にこの倉庫に来ること。
それが電脳人間達の約束であったから。
最初は遠慮したが、道中もあらゆる危険を伴う「運び屋」を引き受けた彼に
もし誰も来なかったら、GPSがピクリとも動作してなかったら一人でも逃げてくれ。
それが彼に託されていた役割だった。
倉庫のジャンクモニターから、次々と消えていく仲間のGPS。
戦でGPS機能が壊れたものもいるか、あるいはモニターの範囲外か。
頭脳面で優秀だった『戦車』は度々研究者側の手伝いをしながら技術を盗み、
『ノスタルジアの箱舟』で研究されていた『別世界への渡航』、
これも規模は小さいながら技術を会得していた。
ー最も、『戦車』のそれは自分の趣味丸出しのデコトラックだったが。
更に待つと、1つのGPS…いや、2つ。
GPSの点がこちらに向かってくることを確認する。
とりあえず1人逃亡はなさそうだと息を吐き、待機を続ければ
やがて倉庫に2人の影が見えてくることだろう。
1人目は元気な少女。
「やーっと着いたー!あかりん生き残れたよやったー!」
1人目はべそをかきながらやってきた大柄な少年。
「オレ生きてる…ひぐ、次々みんな死んで…今までなんも思ってなかったのに…」
『戦車』は対照的な2人を暖かくというほどでもなく受け入れる。
「そっちのお転婆さんは『星』、そっちの泣き虫くんは『悪魔』だね。
よく戻ってきてくれた、それだけでもありがたいよ…他の連中は…」
ぐすぐす泣いてる『悪魔』をよそに、『星』が元気にお返事。
「あかりんが観測した限りでは生きてそうな仲間いなかったよー?
あーでもでも、『戦車』ちゃんのが詳しいよね?GPS追ってたし」
「ああ、確認しているんだが…キミ達を除いてはもう当たりがないね」
「死んだんじゃないのー?時間はまだ余裕あるのー?」
「生存者が全員集まり次第出ろとは言われてるね。
内乱が終わってからかなり待っての2人だったし、もう出ようと思うよ」
平然と話している2人をよそに、ぽつりとべそをかき『悪魔』は漏らす。
「みんな…」
それを見やり、目の前で「?」と言った顔を見やり。
改めてこんな幼い子たちまで攫い、戦争の駒にしていった原因に静かに怒り。
そして同時に、この2人となんとしても生き延びようと『戦車』は内心思っていた。
「さ、行くよ。
せっかくだからキミ達の「コードネーム」ではなくて「名前」を教えてほしいな」
「…ズビ…「魔沙兎」、「亜久津 魔沙兎」…」
「あかりんは「星 灯里」っていいまーす!!!!おじちゃんはー?」
「おじさんは「戦場 轟」だよ、よろしくね。
さあ2人とも乗った乗った、
『世界渡航技術』は会得したけどキミ達を置いて行っちゃ意味がないからね」
「はーい!」
元気にトラックの貨物ボディに飛び乗る灯里をよそに、
まだ誰か来るかもと後ろ髪を引かれる魔沙兎を見やり、轟は肩を叩き、首を横に振り。
「…行こう、ここで僕達まで死んだら、仲間の犠牲は無駄になる。
助手席乗るかい?外の景色を見れば、少しは気が晴れるかもね」
「…ああ…」
ようやく泣き止んだ魔沙兎と共にキャビンに乗り込み、エンジンをかければ。
歪んだ空間をトラックは走り去っていく。
もうここに戻ってくることはないだろう。
ーこの数年後、苦労しつつも3人で転々と生活を繰り返し。
とある町でトラック仕事を終えた轟が耳にした話題が「フラウィウス」である。
苦手な人は閲覧を避けてください。
第7席『戦車』「轟」。
この激しい内乱が終わるまでただ一人遠くの倉庫から状況を見ていた男。
崩壊した国は生き残った貧民に任せよう、そこから先は託す。
そのための一先ずの食料や住居は電脳人間達が牽引して調達したし、
この内乱で平和ボケした平民や富豪からも奪い去った。
あとは彼等の人生だから、こちらから関わることはない。
それは電脳人間達もまた同じ。
電脳人間達はどのみちこの国から去ることを決めていたから、
もうこの国に対して積極的に関わることはないだろう。
残った量産型の管理・保護は捕虜にした研究員が管理すると約束した。
一時的な仲間ではあったが国に残すのならば、電脳人間の管轄ではない。
優秀な占い師だった第18席『月』の「ユエ」は告げていた。
「私達が全員生き残ることは出来ない。だけどこの戦には意味があるわ」
電脳人間達は最初から腹を括ってこの戦に挑んだ。
あるいは生き残りたかったけど生き残れなかったものなど、
とにかく全20人が全員生き残り帰ることはないと占わずとも予測できていた。
生き残った電脳人間を回収し、別世界へ運ぶのが
チームの「運び屋」だった『戦車』の最後にして最大の仕事。
生き残った者は、ここが国によって破壊される前にこの倉庫に来ること。
それが電脳人間達の約束であったから。
最初は遠慮したが、道中もあらゆる危険を伴う「運び屋」を引き受けた彼に
もし誰も来なかったら、GPSがピクリとも動作してなかったら一人でも逃げてくれ。
それが彼に託されていた役割だった。
倉庫のジャンクモニターから、次々と消えていく仲間のGPS。
戦でGPS機能が壊れたものもいるか、あるいはモニターの範囲外か。
頭脳面で優秀だった『戦車』は度々研究者側の手伝いをしながら技術を盗み、
『ノスタルジアの箱舟』で研究されていた『別世界への渡航』、
これも規模は小さいながら技術を会得していた。
ー最も、『戦車』のそれは自分の趣味丸出しのデコトラックだったが。
更に待つと、1つのGPS…いや、2つ。
GPSの点がこちらに向かってくることを確認する。
とりあえず1人逃亡はなさそうだと息を吐き、待機を続ければ
やがて倉庫に2人の影が見えてくることだろう。
1人目は元気な少女。
「やーっと着いたー!あかりん生き残れたよやったー!」
1人目はべそをかきながらやってきた大柄な少年。
「オレ生きてる…ひぐ、次々みんな死んで…今までなんも思ってなかったのに…」
『戦車』は対照的な2人を暖かくというほどでもなく受け入れる。
「そっちのお転婆さんは『星』、そっちの泣き虫くんは『悪魔』だね。
よく戻ってきてくれた、それだけでもありがたいよ…他の連中は…」
ぐすぐす泣いてる『悪魔』をよそに、『星』が元気にお返事。
「あかりんが観測した限りでは生きてそうな仲間いなかったよー?
あーでもでも、『戦車』ちゃんのが詳しいよね?GPS追ってたし」
「ああ、確認しているんだが…キミ達を除いてはもう当たりがないね」
「死んだんじゃないのー?時間はまだ余裕あるのー?」
「生存者が全員集まり次第出ろとは言われてるね。
内乱が終わってからかなり待っての2人だったし、もう出ようと思うよ」
平然と話している2人をよそに、ぽつりとべそをかき『悪魔』は漏らす。
「みんな…」
それを見やり、目の前で「?」と言った顔を見やり。
改めてこんな幼い子たちまで攫い、戦争の駒にしていった原因に静かに怒り。
そして同時に、この2人となんとしても生き延びようと『戦車』は内心思っていた。
「さ、行くよ。
せっかくだからキミ達の「コードネーム」ではなくて「名前」を教えてほしいな」
「…ズビ…「魔沙兎」、「亜久津 魔沙兎」…」
「あかりんは「星 灯里」っていいまーす!!!!おじちゃんはー?」
「おじさんは「戦場 轟」だよ、よろしくね。
さあ2人とも乗った乗った、
『世界渡航技術』は会得したけどキミ達を置いて行っちゃ意味がないからね」
「はーい!」
元気にトラックの貨物ボディに飛び乗る灯里をよそに、
まだ誰か来るかもと後ろ髪を引かれる魔沙兎を見やり、轟は肩を叩き、首を横に振り。
「…行こう、ここで僕達まで死んだら、仲間の犠牲は無駄になる。
助手席乗るかい?外の景色を見れば、少しは気が晴れるかもね」
「…ああ…」
ようやく泣き止んだ魔沙兎と共にキャビンに乗り込み、エンジンをかければ。
歪んだ空間をトラックは走り去っていく。
もうここに戻ってくることはないだろう。
ーこの数年後、苦労しつつも3人で転々と生活を繰り返し。
とある町でトラック仕事を終えた轟が耳にした話題が「フラウィウス」である。