RECORD

Eno.118 ルミア・ジーラの記録

昔の話(4)

「お兄ちゃん、元気にしてるかな……」

私は月に一度、お兄ちゃんに手紙を書いた。
お仕事頑張ってますか、とか、新しい暮らしはどうですか、とか。
お兄ちゃんも月に一度くらい、手紙で返事をくれた。
ルミアも元気にしてるかい、とか、新しい友達はできたかい、とか。

他愛もないやりとりだけど、毎月孤児院に手紙が届く日が待ち遠しかった。


でも、お兄ちゃんからの手紙は次第に減っていった。

寂しかった。心配だった。けれど、
お兄ちゃんもきっと仕事が忙しいんだ……もしかしたらいい人とかできたのかな……
と、自分に言い聞かせた。そして、いつまでもお兄ちゃんに甘えるのは申し訳ないと
思って、私も手紙を出すことが少なくなっていった。


年月はまた流れ、今度は私が大人になって孤児院を出ていくことになった。
先生や弟、妹たちはあの日と同じように私との別れを惜しんでくれた。

荷物をまとめ、いざ旅立とうというその日に。
孤児院に一通の手紙が届いた。

「……もしかして、お兄ちゃん?!」

私はハッとして、先生たちに確認をしに行った。

「それ、お兄ちゃんからの手紙ですか?!」

黙ってうなずく先生たち。ぱあっと目の前が明るくなった。
けれど、それもつかの間。


『…………彼が、亡くなりました』


手からどさりと、荷物が落ちた。
少し寒くなった、冬の日のことだった。