RECORD
Eno.580 シンディリスの記録
500勝を達成する(1)
やっとこさ。
やっとこさだ。
やっとこさ、兄貴の言ってた条件を達成してやった。
オレが何かを記録するなんざ、性に合わねぇんだが。
まぁこの際だ、一応おさらい的な感じで書いておくのもいいだろ。
中にゃ、もう数人には話した内容だったりするが。
『祓魔師』。
端的に言えば悪魔や死者と言った、人の世の理に反する外道の存在を、滅する者の総称。
オレの家……フェルカータ家は、そんな祓魔師の家系であり、同時に有力な商家でもあった。
今となっちゃ祓魔師の方が有名で、商家としちゃ没落し掛かってっけどな。
事の始まりは、5年程前。
オレが10を迎えたか否かくれぇの時。
お袋を物心つく前に亡くしたオレには、姉貴が親代わりだった。
名を、Selaphiela Theresia Fercarta。
その姉貴が、聖女の儀に向かう途中、消息を絶った。
姉貴は……セラ姉は、オレの国の祓魔師の中でも抜きん出て強い力を持ってた。
その力は、恐らく歴代の5本指に新たに名を連ねるとも語られていた。
その点においては、親父も兄貴も非常に期待していた。
が、元来争いを好む性格じゃなかったために、自ら聖女となる道を選んだ。
それに対してオレは、祓魔の力は一切発揮出来ず、親父や兄貴からは冷ややかな目で見られていた。
しかしそんなオレにも、10くらい歳が離れてたセラ姉は優しく接してくれた。
だからこそ、オレはそんなセラ姉を慕い、「いつかねーちゃんの騎士になるんだ」って息巻いてた。
聖女の儀に向かう日、オレはセラ姉に縋りついていた。
オレも行くんだ、オレがセラ姉を護るんだっつって。
でも、叶わなかった。
代わりに飛んで来たのは、親父の拳骨。
力もない餓鬼は、そこで大人しく待っとれってな。
兄貴は何も言わず、いつもの冷ややかな目だ。
それで半ベソかいてるオレに、セラ姉は頭を撫でながら、こう言った。
「帰って来たら、また一緒に遊んであげるから。
今は大人しく待っててね。約束よ?」
それが、ねーちゃん……セラ姉との最後の会話だ。
オレが、このフラウィウスに来た理由は、先にも記述した通り。
兄貴の……Silvane Verove Fercartaとの交換条件だ。
『セラ姉の消息を教える』
そのために、500勝して来い、と。
全く、当初は無理難題を吹っ掛けられたと思ったよ。
闘技場なんざ、戦って負けりゃ死ぬに決まってんだから。
とは言え、セラ姉が行方知れずになってから、兄貴にも負い目を感じてはいたからな。
夕暮れたオレの尻拭いは、大体兄貴がやってたのもある。
ま、売り言葉に買い言葉で受けたってのが大半だがよ。
しっかしオレに条件吹っ掛けた時、妙にやらし~ぃ目で見てた気がすんだよなぁ……
とは言え、条件を満たした事は事実だ。
その証拠を、兄貴宛に書いた手紙に貼り付け、偽造防止の認証印を押して貰った。
数日もすりゃ、兄貴にも届くだろ。
返事が楽しみだぜ、全くよぉ。
セラ姉が消息を絶った話にゃ一応続きがあるんだが……
今日は眠いから、次の機会にしよう。
500勝を転換点とし、ここに記す。
Sindelis Glorio Fercarta
やっとこさだ。
やっとこさ、兄貴の言ってた条件を達成してやった。
オレが何かを記録するなんざ、性に合わねぇんだが。
まぁこの際だ、一応おさらい的な感じで書いておくのもいいだろ。
中にゃ、もう数人には話した内容だったりするが。
『祓魔師』。
端的に言えば悪魔や死者と言った、人の世の理に反する外道の存在を、滅する者の総称。
オレの家……フェルカータ家は、そんな祓魔師の家系であり、同時に有力な商家でもあった。
今となっちゃ祓魔師の方が有名で、商家としちゃ没落し掛かってっけどな。
事の始まりは、5年程前。
オレが10を迎えたか否かくれぇの時。
お袋を物心つく前に亡くしたオレには、姉貴が親代わりだった。
名を、Selaphiela Theresia Fercarta。
その姉貴が、聖女の儀に向かう途中、消息を絶った。
姉貴は……セラ姉は、オレの国の祓魔師の中でも抜きん出て強い力を持ってた。
その力は、恐らく歴代の5本指に新たに名を連ねるとも語られていた。
その点においては、親父も兄貴も非常に期待していた。
が、元来争いを好む性格じゃなかったために、自ら聖女となる道を選んだ。
それに対してオレは、祓魔の力は一切発揮出来ず、親父や兄貴からは冷ややかな目で見られていた。
しかしそんなオレにも、10くらい歳が離れてたセラ姉は優しく接してくれた。
だからこそ、オレはそんなセラ姉を慕い、「いつかねーちゃんの騎士になるんだ」って息巻いてた。
聖女の儀に向かう日、オレはセラ姉に縋りついていた。
オレも行くんだ、オレがセラ姉を護るんだっつって。
でも、叶わなかった。
代わりに飛んで来たのは、親父の拳骨。
力もない餓鬼は、そこで大人しく待っとれってな。
兄貴は何も言わず、いつもの冷ややかな目だ。
それで半ベソかいてるオレに、セラ姉は頭を撫でながら、こう言った。
「帰って来たら、また一緒に遊んであげるから。
今は大人しく待っててね。約束よ?」
それが、ねーちゃん……セラ姉との最後の会話だ。
オレが、このフラウィウスに来た理由は、先にも記述した通り。
兄貴の……Silvane Verove Fercartaとの交換条件だ。
『セラ姉の消息を教える』
そのために、500勝して来い、と。
全く、当初は無理難題を吹っ掛けられたと思ったよ。
闘技場なんざ、戦って負けりゃ死ぬに決まってんだから。
とは言え、セラ姉が行方知れずになってから、兄貴にも負い目を感じてはいたからな。
夕暮れたオレの尻拭いは、大体兄貴がやってたのもある。
ま、売り言葉に買い言葉で受けたってのが大半だがよ。
しっかしオレに条件吹っ掛けた時、妙にやらし~ぃ目で見てた気がすんだよなぁ……
とは言え、条件を満たした事は事実だ。
その証拠を、兄貴宛に書いた手紙に貼り付け、偽造防止の認証印を押して貰った。
数日もすりゃ、兄貴にも届くだろ。
返事が楽しみだぜ、全くよぉ。
セラ姉が消息を絶った話にゃ一応続きがあるんだが……
今日は眠いから、次の機会にしよう。
500勝を転換点とし、ここに記す。
Sindelis Glorio Fercarta