RECORD

Eno.8 スフェーンの記録

EP23.5

左の人差し指になってもらったそれを見ている。
柔らかな紫色。
ラベンダー色。
ラメが入っているから、光に当てれば、つやつや、ピカピカと光沢を見せる。
なんとなく豪華な感じの輝き方だ。

あの子のアメジストを思い出した。

あの子の色が、爪先にのっている。


「………」


「前向きにさせてくれるおまじない」



思いで選ばれた指。
いつかはこれも剥がれてしまうのだろうけど、また塗り直せばいいんだろうな。
次がある。

一緒に前を向いてくれる。
そばにいてくれる。
一人は、怖いというより、生きるのは遠くて、もうあんまりにも誰もいない。
今は、人生の最後まで君がお付き合いしてくれるので。

情けないことの方が多いけど。

「………」



「………昔ハロームがこうやってたなァ」



先を見つめた後に、顔を近づけて。
唇を落としている。


左の薬はちょっとまだね。

だから、次は全部塗ってもらうのも悪くないんだろうな。