RECORD
Eno.7 の記録



ところは下層の辺境。やや古さを感じる小さな診療所にてジュヘナザートと医者は再度会う事となった。
怪異の一件から下層の一部はそれはもう酷い事になっているが――下層の外れにあるこの診療所は特に影響もなく日常の風景そのままで。
やや廃れた印象こそ受けるものの設備は割合と最新の物が用意されており、下層住まいの割に資金源がある事は用意に想像がついた。
赤い医者と言うと気位が高いLv99みたいな存在であり、医者とは思えない程に傲慢で傍若無人な人間と言うのが率直な評価として挙がる。
我が強すぎる彼女に対してひどく苦手意識はあったが、それと受診の必要性は別のところ。
上層に居るまともな医者を使うと、酷く面倒なのだ。


面談用の椅子に座らせ幾らか診察や問診などをし。
問診、と言っても此方が何を喋るでもなく顔色を見て勝手に言を汲み取って返してくる。
それでいて的を得ているのだから人心を理解していると言うべきか、薄気味の悪さを覚えるべきなのかは定かではなかった。
自分を除いた上で自分との対話が成功しているのは自身の知らない内心まで除かれている様で落ち着かない。


必要ならば血液検査も、と言われたが断った。
そこまでの必要性を覚えなかったからだ。実際、頭痛の自覚症状は無い。

人の元に降るという社会性を持ち合わせない癖に、誰よりも人の存在を説き人であろうと宣っている。
言葉面だけをなぞるなら正しい事は理解していた。




人を見透かした様な人間だった。
*寂れた下層の診療所

「それで? 何故貴様がこの私の所にまで診察を受けに来たのかね。
上層の、それも三柱組織の人間ならば上層の医者に掛かれば良かろう」

「まさかとは思うがあの医者共が診察を拒否でも――、
……その顔。まさかなのか?」

「…………」
ところは下層の辺境。やや古さを感じる小さな診療所にてジュヘナザートと医者は再度会う事となった。
怪異の一件から下層の一部はそれはもう酷い事になっているが――下層の外れにあるこの診療所は特に影響もなく日常の風景そのままで。
やや廃れた印象こそ受けるものの設備は割合と最新の物が用意されており、下層住まいの割に資金源がある事は用意に想像がついた。
赤い医者と言うと気位が高いLv99みたいな存在であり、医者とは思えない程に傲慢で傍若無人な人間と言うのが率直な評価として挙がる。
我が強すぎる彼女に対してひどく苦手意識はあったが、それと受診の必要性は別のところ。
上層に居るまともな医者を使うと、酷く面倒なのだ。

「であるならば致し方あるまい。其処の椅子に掛け給え」

「それで自覚症状は――喉か。焼いたか?
な、訳が無いだろうな。症状として出たのは今しがたと言った辺りだろうが……まずは見せ給えよ。
普通、こういったものは耳に現れる事が多いものの、一概には言えん。今あるものが事実でしかあるまい」
面談用の椅子に座らせ幾らか診察や問診などをし。
問診、と言っても此方が何を喋るでもなく顔色を見て勝手に言を汲み取って返してくる。
それでいて的を得ているのだから人心を理解していると言うべきか、薄気味の悪さを覚えるべきなのかは定かではなかった。
自分を除いた上で自分との対話が成功しているのは自身の知らない内心まで除かれている様で落ち着かない。

「とは言え、月並みだが予後としては出来る事ならば暫しの休息なり休暇でもとって安静にしろ、
そして少なくとも無理や精神に負荷の掛ける行いは避けることだ。
何方かと言うならばこれは――いや、自覚済みか。ならば敢えて言う事もあるまいて」

「一応聞いておくが酷い頭痛などは無いだろうな? ……ならば構わんが」
必要ならば血液検査も、と言われたが断った。
そこまでの必要性を覚えなかったからだ。実際、頭痛の自覚症状は無い。

「……貴様の人生の歩み方に口出しても仕方は無いが一つ明言してやろう。
人生などどう使おうが勝手だが、人としての心を殺し他者の傀儡と成り下がるだけならば――
それは最早人間とは呼べん事をな」
人の元に降るという社会性を持ち合わせない癖に、誰よりも人の存在を説き人であろうと宣っている。
言葉面だけをなぞるなら正しい事は理解していた。

「ま、お大事にし給え。通院も貴様には強要せんよ」

「だって、ほら。私からすればどうでも良いが……貴様は私の事が嫌いだろう?」

「……」

「……。」
人を見透かした様な人間だった。