RECORD

Eno.118 ルミア・ジーラの記録

昔の話(5)

「お兄ちゃん!!」

私は出立用に呼んでいた馬車で、わき目もふらずお兄ちゃんの家へと向かった。
遠く離れた街の小さな宿、その一室が彼の部屋だった。

たどり着いた私は、走っていってガチャリと扉を開けた。

物が溢れて散乱し、荒れた部屋。ただ一つ置かれたテーブル。
そこには、書きかけの手紙が置かれていた。そっと手に取って開く。

『孤児院のみんな、ごめん。何とか、頑張りたかったけど………
もうこれ以上は、だめかもしれない。
 
ごめん、ルミア……僕は………』


「ぅ……ぅあぁぁ……
お兄ちゃん…………」

私はお兄ちゃんの部屋で一人、手紙を胸に抱いて泣き続けた。
涙をこぼしながら、神様に祈った。

神様、私に力を下さい――。
みんなを笑顔にするための、特別な魔法を―――。


ポケットに入った懐中時計を取り出して、針を巻き戻す。
視界が、真っ白な光に包まれて。





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「お兄ちゃん!!」




『…………ルミア?』


私は時を遡って、亡くなる一か月前のお兄ちゃんに会いに行った。