RECORD

Eno.580 シンディリスの記録

500勝を達成する(2)

あんま筆が乗らねぇが……

続きを書く事にしよう。



セラ姉が失踪した日。

オレは使用人と共に、自分の部屋にいた。

早くねーちゃん帰って来ないかな……そんな事を思いながら。


しかし、帰って来たのは兄貴と……精神をおかしくした親父の2人だけだった。

聖女の儀に赴いたのは、兄貴と親父、そしてセラ姉の他にも侍従が数人いた筈だ。

その中で、親父と兄貴だけが帰って来た。

ガキだったオレは到底、そんなの認められる訳がねぇ。

親父は目が虚ろで何事かをブツブツ呻いているだけで会話が成り立たねぇ。

そうとなれば、聞くべき相手は一人しかいねぇ。

縋るように兄貴に、セラ姉の行方を聞いてみたが……


「セラフィーラは、儀の道中で消えた。侍従の者達も含めてな」


にべもなく、兄貴はそう答えやがった。

背中に、雷を落とされたような気分だった。

それ以降、兄貴は何も語らなくなった。

程なくして、親父はこの世を去った。


あの日以来、オレはすっかり夕暮れ、荒れ果てた。

通っていた学園じゃ魔導の力も発揮出来ねぇし、それが尚の事精神面の荒れ具合に拍車をかけた。

ある程度は膂力があったせいで、すっかり喧嘩に明け暮れ、夜の港だろうが昼の街中だろうが、バール片手にチンピラ共へ喧嘩を吹っ掛け、ボコしボコされる毎日。



誰にも見せた事はねぇが、オレの身体には喧嘩の時の傷跡が幾つか、今でも残っている。

無茶をするな、たぁよく言われるがよ。

それに関しちゃ、遅きに失した感は否めねぇ。

つっても、後悔なんざしたところでセラ姉が戻ってくる訳でもねぇ。

敢えて言やぁ、五十歩百歩どっこいどっこいっつー具合よ。

そのお陰で、いつの間にかリミッター外せるようになっちまったし。

一蹴りでエライ速さで走ったり跳んだり出来るようになったし。

試合に生かせねぇのが、何とも歯痒いんだけどよ。

でも、フツーに喧嘩する分にゃ、オレの世界でもうオレに敵うヤツぁいねぇと思うぜ。


オレが出した手紙も、そろそろ兄貴の元へ届いてんだろうよ。

もし兄貴がフザケた答え出しやがったら、ダッシュストレート時速150マイルの正拳を見舞ってやらぁ



500勝を転換点とし、ここに記す。

Sindelis Glorio Fercartaシンディリス・グロリオ・フェルカータ