RECORD

Eno.253 クァリの記録

🜶







酔っていた。
夢を見た。
レモンの味。














灰耳長は性質上同じ場所に集まりやすく、性質上泥沼の闘いになりやすかった。
同士討ちを防ぐために彼らは群れを成した。
そこから外れた以上、一番遭遇したくないものが彼らだった。


「此処で遭うとはな、        」

「人違いだよ、バウラークスィ」

「覚悟は良いか」

「きみの方こそ」


彼は相変わらず強かった。
大口径の散弾銃。掠めた大腿の半分が吹き飛んだ。
その隙に肩を撃ち抜いた。意味がないのは分かっていたけれど。
ひたすらの防戦。酩酊。開き切った瞳孔で睨み合う。獣のように歯を剥いて。
やっと弾切れを起こしたと思ったら、重たい殴打。殴打。殴打。
負けじと銃床で応戦したが、まるで手応えがない。大岩と間違うほどの打たれ強さだった。
ぶれる視界と意識の中で、頭が固いのが全身までそうなったのかな、なんて他人事のように考えたのを覚えている。

両肩が外れたし肋も潰れた。最後は頸の骨を折られた気がする。
丁度雨が降ってきて、互いに我に返って。
あの時の彼の顔ときたら。
……おれはどんな顔してたんだろうな。












醒めて仕舞えば、夢の内容などすっかり忘れていた。
煙草とレモンの香りがすべてを塗りつぶしていった。