RECORD

Eno.118 ルミア・ジーラの記録

昔の話(8)

何か、何かないの。お兄ちゃんを救う方法は。
私は何度も過去に遡って試みた。

お兄ちゃんに付いていって、直接止めようとしたこともあった。
でも、私の制止を振り切ってお兄ちゃんは川に身投げしてしまった。
目の前でそれを見てしまった私は、もう同じ方法を試すことができなくなった。

お兄ちゃん本人を止めることができないならと、仕事場へ行ったこともあった。
けれど、見ず知らずの私に大人の人が掛け合ってくれることなんて無くて。

友達や先生に、思いきって自分の力を話したこともあった。
私は未来からここへ戻ってきて、お兄ちゃんが亡くなるのを見てきた。
だから止めてほしい。
みんな困ったような顔をして、私をなだめた。
最後まで信じてくれる人はいなかった。



私じゃ何もできない。何をしても、最後は同じ。
まるで神様が最初からそう決めているかのように、お兄ちゃんは命を落とす。


身も心も、消耗してゆく。
頭の中で声が響く。

『もう……おやめなさい………
使ってはいけない……これ以上は………』

あなたは、誰なの。
私に力をくれた神様……?それともお兄ちゃん……?それとも、私自身。



……でも、諦めたくない。
私はぼろぼろになった身体で、もう一度お兄ちゃんに会いに行った。