RECORD
Eno.272 『残響』の記録
![]()
始まりは軽い気持ちだった
金を稼ぐのならばアーケードが良いのはそこそこやってりゃある種の常識
そもそもカフェで積むようなやつらの資金源はそこ。余ってんのか?
そうであるのならば金、もといハニートースト交換券を手に入れるのならば、それだけで良い
俺が今まで真面目に触れなかった理由は幾つかある
まず、めんどくさい
これは本当にそう。意味がないのなら絶対やらない
そう、意味がない
俺は根本的には既に王であり英雄であり勇者である……みたいな存在
名声で変化しない。むしろ打ち消される。この飢えは絶対に満ちない
どれだけ手を伸ばしたところで『当然』でしかない。だって出来るに決まってるんだから。そういう風になってるんだから
健全な人間が呼吸出来たところで褒めるに値しないように
健全な人魚が泳げたところで賞賛に一切値しないように
ただの英雄譚の概念の成れの果てが、登り詰めた所でただの当然だ
だから、嫌だった
これを守り続ける?反吐が出る。アタリマエを守り続けるだけで何もかも終わる。何も得ないまま終わる
残るのは名に足りぬ名声と徒労
これを捨てる?馬鹿も休み休み言え。零落した英雄程見苦しい物もない。『ああ、アイツはやっぱりその名を持つだけなんだ』と言われてオシマイ。アンコールは途絶える
残るのは……名に合わない自我だけが肥大した物語と徒労
だから見ないふりをしていた。やる気ないから良いじゃんって。やらなきゃ上も下もない。ただ猫箱があるだけ。やったら出来るかもしれないという曖昧があるだけ
少し登った
それ自体は簡単な事だ。時間と手間はかかるが、相手の想定される動きに合わせてこちらは対処すれば良いだけ
体も声も、データに要求されるものなら全て可能を叩き出す
ここで避けて、ここで叫んで、ここで受けて、ここで打ち消し、ここで叫ぶ
それをただ、繰り返すだけ。それを全てのパターンに対応させるだけ
うん、やっぱり稼ぐ分には簡単だ
それでも、何度見ても上に何人も居る。メガホンなんて珍武器だと思っていたのに、比べられる事もなく、武具とも言えないから在り方に追い立てられる事も無いと思ったのに
見ちゃったからには、しょうがない
上を 上を 上を
目指すしかない……ある意味下に下に、かもだけど
道中、見知った少女の、違う姿を見た
ミドラーシュ?
なんだそれは。俺が知ってるのは、不可能の中で可能を見付け、あの時の俺と同じように叫んだお前じゃん
そんな、みんなのお陰で最初に描いた夢を実現とかさ
思い出しちゃうじゃん。根源を。あの馬鹿共と一緒にいきたいと願った最初の願いを。破綻の原因であり、再誕の理由を
そんなのズルい。これが他のポンマスであるのなら無視の一つも出来たのに。俺の握ったこれのマスターだなんて
そんなヤツを倒したなんて、もう足を止める事が出来なくなる。意味がないと分かってる事でもやるしかなくなる。ぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶ、やるしかなくなる
叫ばせて。ただ一言を
歌わせて。ただ一節を
願わせて。ただの我儘を
登る のぼる のぼ、る
資金稼ぎの名目はまだ有効。だからまだ、失敗しても壊れないから、迷わず進め進め進め
最適解と多少のズルのログ閲覧。それらまで合わせて進め進め進め進め進め
わざと残していたマスターに出会う
一人はバイブル
意味はない。ないはず。俺に勝手に語る資格は本来ない
望まれて、読まれないといけない。求められないといけない
それでも、どうしても自分を語らなきゃと思った
観客は乱入一人の練習じゃない、本番を
彼女の為の、物語
一人はメガホン
当たり前だ。こっちはお前のお陰で来たような面だってある
お前が戦う事を諦めず、メガホンなんてどう見ても武器じゃないそれを押し通したから、俺はこんな所で戦ってんだ
弱い癖に。いっちょまえの顔してラスボス前やるんじゃねぇよ
ラスボス
本当なら、これまでの流用のようにしても良いのだけど
やらなきゃと思った。全部を出し切らないと、資格がないと思った
そう思ったら、からっぽのはずの、レウムの影法師のはずのこの身から、魔女のソレのように何かが析出されるのを感じた
![]()
定義:〈未定義〉 析出:ノイズ
一時この手に集めた感情全部、吐き出して、最後に一つ、気付いたら、言っていた

ああ、やっぱり、これなんだって
やっぱりこれが、俺なんだって、腑に落ちた
勝ったって分かって、最初は脱力、もう一生本気出すかって
巻き戻りやらの処理を終えて、湧き上がったのは歓喜
……あれ?嬉しくないはずじゃないの?
だって、アタリマエじゃん。こんなちっぽけな称号、吐いて捨てる程持って……
でも、俺にとっては初めての称号だ
……ばっかみたいだ。叫んで駆けて回って
でも、ほんとに、すっごい嬉しかった。生きてる実感があった。存在してる感覚があった
気付いたら何時もみたいな高い視点に戻っていたけど、偶然ながら更新後すぐにクリアしたおかげで他ならぬ俺がランキングに並んでいる様子がそこからでも見えた
嘘じゃないって確信出来た
俺、存在しているんだって
あの光景を見た人の記憶に、きっと残れるだろう結果があった
なんだか、初めてだ
剣闘王
この日記にはアーケードモード一部ボスのネタバレが含まれます
始まりは軽い気持ちだった
金を稼ぐのならばアーケードが良いのはそこそこやってりゃある種の常識
そもそもカフェで積むようなやつらの資金源はそこ。余ってんのか?
そうであるのならば金、もといハニートースト交換券を手に入れるのならば、それだけで良い
俺が今まで真面目に触れなかった理由は幾つかある
まず、めんどくさい
これは本当にそう。意味がないのなら絶対やらない
そう、意味がない
俺は根本的には既に王であり英雄であり勇者である……みたいな存在
名声で変化しない。むしろ打ち消される。この飢えは絶対に満ちない
どれだけ手を伸ばしたところで『当然』でしかない。だって出来るに決まってるんだから。そういう風になってるんだから
健全な人間が呼吸出来たところで褒めるに値しないように
健全な人魚が泳げたところで賞賛に一切値しないように
ただの英雄譚の概念の成れの果てが、登り詰めた所でただの当然だ
だから、嫌だった
これを守り続ける?反吐が出る。アタリマエを守り続けるだけで何もかも終わる。何も得ないまま終わる
残るのは名に足りぬ名声と徒労
これを捨てる?馬鹿も休み休み言え。零落した英雄程見苦しい物もない。『ああ、アイツはやっぱりその名を持つだけなんだ』と言われてオシマイ。アンコールは途絶える
残るのは……名に合わない自我だけが肥大した物語と徒労
だから見ないふりをしていた。やる気ないから良いじゃんって。やらなきゃ上も下もない。ただ猫箱があるだけ。やったら出来るかもしれないという曖昧があるだけ
少し登った
それ自体は簡単な事だ。時間と手間はかかるが、相手の想定される動きに合わせてこちらは対処すれば良いだけ
体も声も、データに要求されるものなら全て可能を叩き出す
ここで避けて、ここで叫んで、ここで受けて、ここで打ち消し、ここで叫ぶ
それをただ、繰り返すだけ。それを全てのパターンに対応させるだけ
うん、やっぱり稼ぐ分には簡単だ
それでも、何度見ても上に何人も居る。メガホンなんて珍武器だと思っていたのに、比べられる事もなく、武具とも言えないから在り方に追い立てられる事も無いと思ったのに
見ちゃったからには、しょうがない
上を 上を 上を
目指すしかない……ある意味下に下に、かもだけど
道中、見知った少女の、違う姿を見た
ミドラーシュ?
なんだそれは。俺が知ってるのは、不可能の中で可能を見付け、あの時の俺と同じように叫んだお前じゃん
そんな、みんなのお陰で最初に描いた夢を実現とかさ
思い出しちゃうじゃん。根源を。あの馬鹿共と一緒にいきたいと願った最初の願いを。破綻の原因であり、再誕の理由を
そんなのズルい。これが他のポンマスであるのなら無視の一つも出来たのに。俺の握ったこれのマスターだなんて
そんなヤツを倒したなんて、もう足を止める事が出来なくなる。意味がないと分かってる事でもやるしかなくなる。ぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶ、やるしかなくなる
叫ばせて。ただ一言を
歌わせて。ただ一節を
願わせて。ただの我儘を
登る のぼる のぼ、る
資金稼ぎの名目はまだ有効。だからまだ、失敗しても壊れないから、迷わず進め進め進め
最適解と多少のズルのログ閲覧。それらまで合わせて進め進め進め進め進め
わざと残していたマスターに出会う
一人はバイブル
意味はない。ないはず。俺に勝手に語る資格は本来ない
望まれて、読まれないといけない。求められないといけない
それでも、どうしても自分を語らなきゃと思った
観客は乱入一人の練習じゃない、本番を
彼女の為の、物語
一人はメガホン
当たり前だ。こっちはお前のお陰で来たような面だってある
お前が戦う事を諦めず、メガホンなんてどう見ても武器じゃないそれを押し通したから、俺はこんな所で戦ってんだ
弱い癖に。いっちょまえの顔してラスボス前やるんじゃねぇよ
ラスボス
本当なら、これまでの流用のようにしても良いのだけど
やらなきゃと思った。全部を出し切らないと、資格がないと思った
そう思ったら、からっぽのはずの、レウムの影法師のはずのこの身から、魔女のソレのように何かが析出されるのを感じた
せき‐しゅつ【析出】
〘 名詞 〙
① 液相から固相を生ずる現象。溶液を冷却したとき、溶質が結晶となる場合など。
② ( 比喩的に ) いくつかの事物の中から、ある特定の要素をとり出すこと。
定義:〈未定義〉 析出:ノイズ
一時この手に集めた感情全部、吐き出して、最後に一つ、気付いたら、言っていた

この歌はあいのうた!ぜったい、ぜったい……また会うんだからーーー!!!!!
ああ、やっぱり、これなんだって
やっぱりこれが、俺なんだって、腑に落ちた
勝ったって分かって、最初は脱力、もう一生本気出すかって
巻き戻りやらの処理を終えて、湧き上がったのは歓喜
……あれ?嬉しくないはずじゃないの?
だって、アタリマエじゃん。こんなちっぽけな称号、吐いて捨てる程持って……
でも、俺にとっては初めての称号だ
……ばっかみたいだ。叫んで駆けて回って
でも、ほんとに、すっごい嬉しかった。生きてる実感があった。存在してる感覚があった
気付いたら何時もみたいな高い視点に戻っていたけど、偶然ながら更新後すぐにクリアしたおかげで他ならぬ俺がランキングに並んでいる様子がそこからでも見えた
嘘じゃないって確信出来た
俺、存在しているんだって
あの光景を見た人の記憶に、きっと残れるだろう結果があった
なんだか、初めてだ

あの一瞬は、馬鹿共とまた会っても、『コンニチハ、実は『残響』だけど、文句ないよね?センセー居ない事だけだよ足りない点は』くらいは言えそうな気がしたよ