RECORD
Eno.457 ルルベル・シャンパーニュの記録
初日の自問自答
"点"で固定し、"線"で結ぶ。
極めて物理的な、人除けのおまじない。
それを施してから――

意を決して、"皮袋"の中へと入った…
---
--
-
…
……
………
リンちゃんの言っていた通り、袋の"中身"はまるで倉庫だった。
見たことがあるような、ないような、けれど魔法使いの目で見て、危険であると分かる物があったり、また、そういう風に見えない物もあり。
いずれにしても、今は『触りたい』と思うほどの好奇心はないから、適当な場所へと座り、物思いに耽る。

"外"から持ち込んだ私物は、何の変哲もない、ノートとペン。
昔から『思考の整理は可視化すると明確になる』と言われているものだから、変に拘らずシンプルな手段を取ってみることにした。

書き出す。単純に、単純に。
●ネアさまの拠り所になりたい
●レッドドラゴンに気持ちを伝えたい
●ルルベルでありたい

三つの願い。けれど、それを叶えるための壁が多すぎるし、大きすぎる。
ネアさまの拠り所に、なりたい。
その為に必要な強さや手段はがあれば、可能な限り叶える意志はある。
けれど、彼女自身がそれを望むだろうか。
ここでの経験を踏まえれば、"大切なものを傍に置こうとしない"考えはあるだろうし、いくら自分が大丈夫と言うにも限界だってある。
何より、強要はしたくない。嫌がることを押し付けるのは、信者らしくないから。

考えが詰まったところで、次の願いへ。
レッドドラゴンに気持ちを伝えたい。
区切りをつけるのではなく、自分がどう思い、それを理解して欲しいのかを伝えなければいけない。
自分達のことを思い出して欲しい…のかは、別だと思う。それに、ここまで強くはない。彼女の口ぶりからしても、きっと断片的にしか覚えてないだろうし。
"心"を植え付けたのだから、同じ気持ちは分かるかもしれない?どうだろうか、確信はない。

最後の願い。
ルルベルでありたい。
これは、

ネアさまなら、たぶん。
『誰かを気にして棄てなくていいじゃないのよ!』…と、答えてくれそうだとは思うけれど。
この胸の内にいる小さな自分は、亡霊みたいなものだ。
ルルベルが復讐のために引き摺ってきた、可哀そうなサンタモニカ。
…その決別が、あの清算の答えだと思っていた。それなのに心は納得していなかった。まだ、ここにいる。
だから、出来ればちゃんと葬り出してあげたいんだ。自分のせいで連れ回してしまった彼女のために。

順序としては、下から上…と、矢印を付け足しつつ。
何も初日から回答を出せなんて無茶な話だ。そんなに簡単なことなら、とっくの昔に解決してるだろう。
はぁ、と溜め息を1つ吐き、上を見上げる。

ネアさまなら、合理的にすぐ判断出来るんだろうな。心がないから。
…客観的に振り返っても、それは"ある意味間違いではなかった"とは今でも思う。
神とは、多くの人々に寄り添える形を望まれて。
けれど、寄り添えば当然、個々で優先順位が生まれる。
故に、争いや喪失が生まれてしまう。
情を抱かない姿こそ、最も神に近しいかもしれない。
心を持つ私ですら、有限な時間の中で最適解を出せないのだから。

けれど、まぁ、笑ったり怒ったりしないネアさまは少し寂しかったかもしれないわね。
ノートを手に取り、閉じる。少しだけ、袋の中で休もうかな。
考えすぎて出られなくなったらリンちゃんに怒られちゃうもの。
だから、少しだけ。少しだけ、ね。
極めて物理的な、人除けのおまじない。
それを施してから――

「…よし、」
意を決して、"皮袋"の中へと入った…
---
--
-
…
……
………
リンちゃんの言っていた通り、袋の"中身"はまるで倉庫だった。
見たことがあるような、ないような、けれど魔法使いの目で見て、危険であると分かる物があったり、また、そういう風に見えない物もあり。
いずれにしても、今は『触りたい』と思うほどの好奇心はないから、適当な場所へと座り、物思いに耽る。

「…こういう時は原始的な方法よね…」
"外"から持ち込んだ私物は、何の変哲もない、ノートとペン。
昔から『思考の整理は可視化すると明確になる』と言われているものだから、変に拘らずシンプルな手段を取ってみることにした。

「…私の願い…」
書き出す。単純に、単純に。
●ネアさまの拠り所になりたい
●レッドドラゴンに気持ちを伝えたい
●ルルベルでありたい

「………」
三つの願い。けれど、それを叶えるための壁が多すぎるし、大きすぎる。
ネアさまの拠り所に、なりたい。
その為に必要な強さや手段はがあれば、可能な限り叶える意志はある。
けれど、彼女自身がそれを望むだろうか。
ここでの経験を踏まえれば、"大切なものを傍に置こうとしない"考えはあるだろうし、いくら自分が大丈夫と言うにも限界だってある。
何より、強要はしたくない。嫌がることを押し付けるのは、信者らしくないから。

「…次ね…」
考えが詰まったところで、次の願いへ。
レッドドラゴンに気持ちを伝えたい。
区切りをつけるのではなく、自分がどう思い、それを理解して欲しいのかを伝えなければいけない。
自分達のことを思い出して欲しい…のかは、別だと思う。それに、ここまで強くはない。彼女の口ぶりからしても、きっと断片的にしか覚えてないだろうし。
"心"を植え付けたのだから、同じ気持ちは分かるかもしれない?どうだろうか、確信はない。

「…次。」
最後の願い。
ルルベルでありたい。
これは、

「……過去の"自分"との、決別。」
ネアさまなら、たぶん。
『誰かを気にして棄てなくていいじゃないのよ!』…と、答えてくれそうだとは思うけれど。
この胸の内にいる小さな自分は、亡霊みたいなものだ。
ルルベルが復讐のために引き摺ってきた、可哀そうなサンタモニカ。
…その決別が、あの清算の答えだと思っていた。それなのに心は納得していなかった。まだ、ここにいる。
だから、出来ればちゃんと葬り出してあげたいんだ。自分のせいで連れ回してしまった彼女のために。

「…結局、何一つ解決策が見つからないわね…」
順序としては、下から上…と、矢印を付け足しつつ。
何も初日から回答を出せなんて無茶な話だ。そんなに簡単なことなら、とっくの昔に解決してるだろう。
はぁ、と溜め息を1つ吐き、上を見上げる。

「…」
ネアさまなら、合理的にすぐ判断出来るんだろうな。心がないから。
…客観的に振り返っても、それは"ある意味間違いではなかった"とは今でも思う。
神とは、多くの人々に寄り添える形を望まれて。
けれど、寄り添えば当然、個々で優先順位が生まれる。
故に、争いや喪失が生まれてしまう。
情を抱かない姿こそ、最も神に近しいかもしれない。
心を持つ私ですら、有限な時間の中で最適解を出せないのだから。

「…難しいわね…」
けれど、まぁ、笑ったり怒ったりしないネアさまは少し寂しかったかもしれないわね。
ノートを手に取り、閉じる。少しだけ、袋の中で休もうかな。
考えすぎて出られなくなったらリンちゃんに怒られちゃうもの。
だから、少しだけ。少しだけ、ね。