RECORD

Eno.270 タニムラ ミカゼの記録

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 白い煙が立ち上がって、君の思い出達が焼かれていく。
 紙や布は簡単に燃えていき、ガラスも溶けて原型を失っていく。金属も高温にさらされ煤けてって。

 誰かからの約束も、俺の想いも。形を失っていく。

 友人と駄弁り、時にその場で食事をし、交代で風呂や睡眠をとって。

 三日間の火葬をした。

 そうしてまた三日間火が消えるのを待ち。もうすっかり窯の熱が冷め終えて。
 僅かな灰と、何だったか分からない固まった物を削り取って。
 小さなツボに入れて、持ち帰ってきたプランターのすぐ側に埋めた。

 土に帰った君とは違う道になったが、君と同じ様に無い物にできたとは思う。

 やがて脳内にある天国の君の好きだった物も、君同様に曖昧になっていくんだろうな。

 君が消えていく。
 過去の人になって、思い出の一部として、朧気な記憶になっていって。
 もうとっくに俺の手から君は消えてしまっているのに、本当に居なくなってしまっていく気がして。

 やっぱり、怖かった。
 縋りたかった。
 けど、その縋るような過去の物を、焼き切ってしまったのだ。

 後はもう、進むしか無いのだ。
 この先を。

 僅かに残った君の愛。
 白い花。
 俺が生きている限り、繋いでいくから。