RECORD

Eno.576 ELMERの記録

刹那/翡翠の眼

『やめよう、クロード』

2mある竜がチトセの前に降り立つ。きっと相手には見えてない。この場で見えるのは、俺だけ。
俺はその竜を、エンシェントを睨んだ。だがエンシェントは怯まない。

『…ボクは痛いよ。キミが、そんな人だとは思っていなかった。
ボクの単独顕現を許すのも、ボクがゼノやシャチみたいに行動を制限されないのも、キミが気を使ってくれての事だって分かってる。だからボクは、ボクの心に従ってキミを止めるよ。

やめよう。ここで戦っても意味無いよ、クロード

チトセの劣化。そこに畳み掛けるように、竜の干渉……《調停》による武器を下ろせという強制命令。


……普段のヒエラルキーなら、クロードより上は存在しない。三竜の内、ゼノ、シャチはあくまでクロードの指揮下故に。

だが、エンシェントは違った。これはクロードの考えあっての事。
エンシェントはクロード達の世界の存在では無い。ラメルディア地方近郊の、森の主そのものだった。
だからクロードは、エンシェントを縛らなかった。己の指揮下にいるべきじゃないという判断の上だった。

『…………』
「………チッ…」

調停。ココロに干渉し、クロードの殺意そのものを鎮めた。

あの一幕に起きた、竜の小さな反逆だった。