RECORD

Eno.54 アジュール・プリズムの記録

三十基 ちぃ

「パパ! ママ! はやくはやくっ、入学式に遅れちゃう!」

「まァ待て、そんなに急かすな」

「はやくー!」


 青色のランドセルを背負った黒髪の少女は、後ろを歩く両親に声をかける。父親らしき男は呆れ声で言うが、少女は気にする事もなく催促した。
 少女の両親はその様子を微笑ましく感じながら、娘の言う通りに歩みを早めるのだった。

「ちぃちゃん、そんなに走って大丈夫?」

「だいじょぶ!」


母親らしき女性が、少女を心配して声をかける。しかし少女は元気良く返事をした。
 少女の足取りは軽い。空は快晴で、暖かい。これからの入学式に高揚している少女の心は、空模様と同じだった。