RECORD

Eno.608 ナイン・ガンセンの記録

体質について

…先日どうにもやらかしてしまったようだ。
元々、私の世界には魔法がある。
生まれつきの魔力量によってある程度職能に融通が利く。
扱い方次第、自己研鑽次第な部分もあるが。
…私にはそれが無い。極微量、でさえない。無。
曰く「お前さんにとっちゃ魔力、魔法は異物なんだな。体が拒絶してらぁ。」

異物である以上体は外に出そうとする。
また抵抗もできないため効果量は僅かでも指向性があればそれに抗えない。
天敵は状態異常を起こす魔法等。冒険者時代に随分苦しめられた。
そのたびに解呪と称して仲間に酒をしこたま飲まされたものだ。

そう。酒だ。
高揚感という指向性で他魔法の悪影響を打ち消し。
酒精という毒と共に他魔力を体外へ追い出す動きを後押しする。
欠点は体の機能、思考能力、記憶諸々が過分な反応に反動を受ける。
酷い二日酔いみたいなものだ。
仲間には随分迷惑をかけた。と思う。しょうがないだろ、記憶も飛ぶんだから…

幸いなことに。
我が息子アレイに、その魔力無しの体質は受け継がれなかった。

不幸なことに。
この体質による凶刃が息子へ向いてしまった。


あぁ、頼む。お願いだ。
私よりもずっとずっと強くなってくれ。私の手を汚させないでくれ。