RECORD

Eno.105 《5i.残酷》の記録

生き方

『…』

真っ白な空間、何度も変えながら、
遠く現実で聞こえる、祭りの音。
貴方はちゃんと楽しんでるかしら。
ウォールバンガー。


…貴方だけじゃない。
フィールリーン、チトセ、タカサブロー、ルミア
飛燕、ミカ、メア、リーシャ…じゃなくて、ヘメトだったかしら。

…クリフォトのみんなは…アプヤヤ以外は、多分行かなさそう。
シアーナも、行かないかしら。
人混みは嫌いそうだし。

他の名前もまだ覚えて彼らも…
楽しんでるかしら。

私のことでずっと大変だったのだから。
今くらい忘れて、楽しんで欲しい。


「…なんて、そんなお行儀がいい訳ないのにね」


今ここにいるのは現実逃避の夢の私だもの。
本当の私はきっと、違う。

片隅で心配して、楽しみきれないで居てほしい。
メアリーがいたら、って、思って欲しい。
我儘よね。自分でもそう思う。

「…」

なんで夏祭りに行きたかったのかしら。
どうせ何も食べれないし、お酒の匂いもするし。

粗末な遊びに興味もないのに。


でもあの時、あの場で。
ウォールバンガーと夏祭りに行きたかった。

思い出作りとかじゃなくて…

「……」

なんにもなくなった私は、それだけはしたかった。

カンタレラが危険だって気がついても。
それで体を無理に動かしても。

…そっ、か

本当に好きだったんだ、私。
つい昨日、口にしたのに。
実感も、あったのに。

夏祭りを諦めて、誰も居ない部屋で音だけ聞いて。

あそこで私、彼の手握って。
よくわからないもの見て、よくわからないまま楽しんで。

よくわからないけど、一緒にいるって思いたかったのね。

それを杖にして、明日が苦しくても。
せめて生きたいって。
幸せのために、彼と足掻けたらって…


そんな、安くてちっぽけでありきたりな…弱くて臆病な生き方、したかったのね。