RECORD

Eno.253 クァリの記録

        


五挺目の銃。

手のひらに収まる大きさの小型拳銃デリンジャー
闘技にすら使えないそれは、お守りのように胸元に。

焼け落ちた名前を与えてみたが、名前はやっぱり焼け落ちていた。












「森が嫌がっている。お前たち、本当に耳長か?」

「その穢らわしい色をどうにかしてから出直すがいい」

「経緯はどうあれ、お前たちは人間を殺している。私達も反乱分子と思われかねん……」




「おいおい、ダークエルフは討伐対象だぞ。……雑種か?」

「耳長なのに魔法が使えないの?銃?冗談やめてよ」

「悪いこた言わねえ、森に帰りなって。ああ……焼けちまったんだっけ?」





耳長にも人間にも溶け込めず、半端な、灰。

それが灰耳長だった。











「なあ、        」

「……?それはおれの名前じゃないよ」

「またそれか。お前は        だろうが」

「その名前は焼け落ちたんだってば」

「………イカれてる」






「別の体系を媒介すれば、少しだけ魔法が使えるかもしれないんだ」

「……        」

「神秘術、錬金術あたりなら負担も軽めに――」

「        !」

「……おれはそれじゃないってば」

「もういい。もう……我らはおとぎ話ではない。過去にしがみ付くのは止せ」






「本当に行くのか?」

「うん。一緒にいたって何も変わらない。彼らは火を探そうともしない」

「……変わろうとしてはいると、思うけどな」

「変わってないよ。矜持の中身を挿げ替えただけだ。……一番しがみ付いてるのはそっちなんだよ」

「……お前の選ぶ、旅路には……きっと何も芽吹かない。それでもお前に救いがあるよう、僕は祈っているから。        」

「……あはは。それはおれじゃないけれど……ありがとう」





爪弾き者の中の、爪弾き者。

それがおれだった。