RECORD

Eno.85 ツェツィーリエの記録

昔話

自分が少し口をつぐんでいるだけで、我慢していることで




「褒められたことが何より嬉しかったから」




積み重ねて今にきてしまっただけでしょう




今更、何かわがままや、理不尽を吐露したところで。
やたらと心配されるその視線が、居心地悪い。

だから見逃しています。

承認欲求が欲しいわけではなかった。

一人ダンマリな代わりに周りが助かるならそうすべきと思ったんです。
一人の我慢で周りがみんな助かるなら、それって素敵なことでしょう。

それで喜んでくれた人の姿を多く見たから。


「これは私の道」








──私の好きだった作品が、売られていくのにシクシク泣いていました。
泣いたって戻ってこないので切り捨てました。

私が好きだった服がありました。
お母様にいらないと言いました。騎士の方向を向きました。

私が好きな劇場がありました。
余分。
切り捨てました。

私の家が所持する領地が不作で悩まされるのに心を痛めました。
痛めたって根本の解決に至るためとのお金は無いので学んでできる限りの知識で対応しました。

騎士にならずに無理な理由で落とされ続ける数年でした。
家系は騎士の家系ですが、女がなるのだから仕方がないことでしょう。
その分努力をします。

騎士団にに入りました。
下っ端としてこき使われましたが、安定した報酬は確かでした。
何より、誰かのために働いているのは気分が良かった。

天職でした。






妬まれました。
目立つと言われました。
疎まれて、それにもまあ、仕方ないなですませていた。

……

本当に。
憧れを汚されることが、あったの、



「結構泣き虫だったんですよ、私」



「子供の時のことです」












「……それを悪いとどうか言わないでね」



「私はこれが正しいと思っているんだ」




「……」




ちょっと楽しいこと。好きだったもの。いろんな人に思い出させてもらって、ありがとう




──それで十分だ。