RECORD

Eno.580 シンディリスの記録

500勝して、兄貴に会ってからの事(2)

セラ姉は√\_ー√\


何かを書こうとしたところで、連戦の疲れか机に突っ伏したまま、寝息を立てている。
そんな最中、下記書きかけたペンを握っている指から、独りでに血が流れ出す。
その血は、段々と日記に文字を描いて行く。


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シンディリスへ。

あまり話せなくてごめんなさい。

でも、貴方には私の血を通じて、色々と理解して貰えたと思うの。

もしかしたら上手く伝わっていない部分もあるかも知れないから、改めて伝えておくわね。


私が臨んだ聖女の儀。

それは、祓魔師としての比類なき力を得る為の、謂わば贄となる儀。

兄シルヴァンは、兎角力に固執する性格で……

それだけならば、まだ良かったのかも知れない。

よりにもよって、私の事を一人の女としても固執していた。

幾ら異母とは言え兄妹は兄妹、婚姻など出来る訳がない。


元よりお父様は浮気性かつ見境が無く、兄の母は魔術師の血族、私の母は神官の血族、そしてシンディリス、貴方の母は魔眼の血族と、力を次代に継ぐ為ならば手段を選ばなかった。

それが、兄シルヴァンには我慢がならなかったのでしょうね。

私達の母は、尽く早世してしまったと聞くわ。

ならばこそ、余計に兄には父が節操無しに、女性へ手を出す事に怒りを覚えたのかも知れない。

私が聖女の儀に臨んだ時、兄はその態度を包み隠さずお父様にぶつけた。

操魔術を以てお父様の意思をそのままに身体だけ操り、私の侍女達を殺戮して回らせた。

でも聖女の儀には、他者の血も必要で、特に処女の命が儀としては最適だったの。

その事でお父様は精神を破壊されて、残るは私だけ。

私は後退りしたけど、もう何処にも逃げる事は叶わない。

だからこそ、私は自らの喉に、隠し持っていた短刀を突き立てた。

誰にも穢されない魂は、自らが望んだ相手以外には混じり合わない事を、私は知っていたから。

その事で、私の血肉は侍女達のものと混じり合い、銀十字として形を成したのよ。


あの時の約束、果たせなくてごめんなさい。

でも、これからはシンディリス、貴方の力になるわ。

貴方のしたい事、色々と思い浮かべてみて。

貴方の大切な人を、思い浮かべる事でも良いのよ。

それこそが、他でもない貴方の原動力になっているのだから。


友達を、好きな人を、大切にね。



貴方の姉、Selaphiela Theresia Fercartaセラフィーラ・テレジア・フェルカータより


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