RECORD

Eno.48 Siana Lanusの記録

◇74


私たちの世界が繰り返しているって、どういうこと。


勇者の物語を紡ぐ世界が、何度も、繰り返しているなど。


悍ましい話だ。
勇者に、あんな、踏みにじられるのが、何度も?
みんなそれを知らずに、生きて、死んで、……それが、繰り返し?
信じたくないのに、頭痛がなによりもそれを正しいと言っていた。

そんな箱庭、そんな、箱庭、
──何かに罅が入った気がした。認識を阻む、思考の先の壁に。亀裂が入った。


「…………帰らないと」



どうにかして壊さないと、と思うのだ。
これ以上弄ばれてたまるものかと思うのだ。

解放、しなければ。理不尽な輪廻を、打破しなければ。
腐るまで使い潰されて、淀み濁るだけ。そんなの、我慢がならない。

誰もそれを知らないのなら、私がやるしかないだろ。
神殺しなんてものが、必要なのかとおもうと。……恐ろしい。
おそろしいのに。……やらねばならないという焦燥が駆る。

死にたいなんて言っている場合では無い。
壊さなきゃ、壊さないと、と、心中を走る声がうるさい。
手段もないというのに。神に抗うすべなど知らないのに。



落ち着かないと、冷静に、ならないと。
ただ濁流に呑み込まれるだけになりかねない。