RECORD

Eno.68 Daliusの記録

思考実験

「――」


――欠けた・・・


結局のところ、自己の同一性というのは経験――すなわち記憶に担保されるものではないだろうか。
人々に望まれるようにあるという性質を持つ自身において、それがどれだけの比重を持つものか。
あなたが望めば存在ありかたが変わる。

「なんてね」

存在の可塑性、柔軟性が高いとはいえ、限界は当然ある。
得た記憶も、感情も、自我も。自分だけのものだ。


閑話休題。
やっと自覚を得た。昔の記憶が欠け落ちている。
失った当時の名と同じように。
否、同じ現象ではないな。削り取られたようにぽっかりと空いている。

おれは知らない。
原体験 のような、ありかたの根幹に関わる記憶が喪失してしまえばどうなるのか。
いま、欠けを埋めているのは新しい記憶だ。
欠けてしまった記憶が残っていた頃の自分の発言、行動、思い出。
今後同じように記憶の欠けが発生して、埋めて、欠けて、埋めて。

そうして先の先の、遠い未来に残った自分はいまと同じ自分だろうか。