RECORD

Eno.314 闘技者の記録

私の話

誰も知らない、誰も興味のない私の話。

ミア・イディアモニカイニティウム・アエテルソル・プリムスルーキス・エルドラド。

エルドラド家の一人娘、私の名前。

エルドラド家はもともとは魔女狩りなんて無縁の貴族だった。
こうしてここまでやってこれたのは父の手腕と築いてきた財力があってこそなんだろう。
だから魔女狩りを主導で行ってきていたエリュシオン家は援助と影響力をさらに強めるために近づこうとしていた。

それが、ジェノー・アップルスネーク・エリュシオンとの婚約。

私の運命を変える要因になったひとつの事だった。


その人はね、本当は優しい人だったんだ。
私のことを気にかけてくれていて、最初は好きだった。
でも、いつからだろう。
彼が魔女狩りになってから、かな。
それとも、私が助けたいと思う人と会ってしまったから、かな。
ジェノーは変わってしまったの。
もう好きだったあの人じゃなくなって、どうしようって思った。
でもあの人と婚約するってことは、街は平和になること。
私個人の感情で築き上げてきた物を壊したくなかった。


怖かった。
私はその人と結ばれることでエディンは発展するって思っていた。
みんな私に期待をしていた。
でも私は怖かった。
これで良いのか、って思ったの。
怖いあの人とずっと一緒で、誰かのためになることを。
潰されそうになっていたことはもう気づいていた。
このままじゃきっとダメ、と思った。
これで、良いのかな。
このまま、止まったままで、良いのかな。

…ううん。

ダメ。

やっぱり、ダメだ。

だから私は、私みたいに、人のために使い潰されてしまいそうになっていた人を連れて逃げ出した。