RECORD
あの日の出来事っす!

「でもでもっ、ここってご飯も美味しいんすよねえ……
どれも量あって、けどすっごく美味しくて!」

「咲名、ここに来たのは二回目なんすけど……
フードストリートを初めて見た時はめちゃびっくりしちゃったっす〜!」

「フラウィウスにあんないい場所があったなんて……!
お姉さんもそう思わないすか?」

「…………」

「どちらさまかな?」

「咲名は鬼剣舞咲名っす!
……なんかこれ前もやった気がするっす!」

「え、そうなんだ……そういうこともあるんだね」

「私はアムヴィス=シェパーズ。
君の呼びやすいように呼んでくれて構わないよ」

「……あ、あとフードストリートについては同意だな、私も。
あの場所に限らず、ここのご飯はどこも美味しいよね」

「アムヴィさん!よろしくっす〜!!」

「で、ね!そう思うっしょ〜っ!?
フラウィウスって試合が楽しいだけじゃなくて、
ご飯の幅広さとか、雑貨屋さんのライナップとか!」

「全部めっちゃすごいんすよ〜!
まさにさいかわにさいつよっす〜〜!」

「……」

「……鬼に金棒、みたいなことかい?」

「ビンゴっす!」

「なるほど」

「しかし、君みたいな可愛らしいお嬢さんも試合に興じているとは……」

「……あ、ごめんね。悪い意味ではないんだ。
ただ、可憐ながら勇ましく強い子だな、と思って」

「っす!無問題っすよ!
咲名は可憐つよかわの星であることは間違いないっすし〜!」

「ふむ……立派な自信だね。
実際、星のように輝いた威厳のようなものを感じるけど」

「……試合はその腰辺りに着けた刀で、かな?」

「そうっす!これでばりばり〜っと勝ち星を稼いじゃうっす!
アムヴィさんは……ダガーっすかねえ?」

「ああ、そうだよ。ここではこの子を『ダガー』として使ってるかな。
……といっても、君のように星を拾えることはあまりないけど」

「そうなんすか?」

「そうみたいなんだ」

「……しかし打刀か。雅で浪漫のある武器だよね」

「えっへへ、そうっしょ!咲名、この武器気に入っているんすよ〜!
相手の間合いに入り込んで……ズバーッ!ってやるのが楽しくて!」

「確かにね……無形のあの動きは目で追えないほど速いけど……
その分美しい。洗練された動きというものを感じるよ」

「っしょ?」

「それに上段下段中段のバランスも良いし、奥義の派手さも目を引くな。
無形にだけ気を取られていると一閃で振り抜かれてしまう。
油断した相手を弧を描くように一刀両断する、あの衝撃は流石だ」

「っす?」

「武器の見た目こそは大太刀や苗刀と似ているが……
だが本質は全く違う。大太刀は一振り一振りが力強い。隙も大きいが、
動きで相手を圧倒させる姿には荒々しい獣のような強さすら感じる」

「苗刀は軽さがある分素早い連撃が得意で、威力も強い……が、
奥義や無形で守りだって忘れず固めている。
猛攻の中に手堅さを感じるよね。故に持ち主の判断が試される武器だ」


「その中、打刀はシンプルな構成に見えるが、逆にこれが奥深いんだ。
唐竹割、貫突、逆袈裟……時には一閃で相手の攻撃をいなしつつ、
相手が大技を出す一瞬を……ただじっと冷静な心で見極める」

「そして相手の奥義が光ろうとする瞬間、突然鞘に刀が収められる。
相手はその挙動に気を取られているうちに打刀の本性に魅せられるんだ。
あの一瞬は本当に力強く、華麗で、儚さすらある。咲名ちゃんは、その切り札をどんな風に見せ」

「……あっ」

「ふふ〜っ」

「……す、すまない。私ばかり語ってしまって……」

「ぜ〜んぜん!むしろ聞いててワクワクしちゃったすよ〜!
アムヴィさんって武器の動き方のこと、すっごく詳しいんすね〜!
めちゃすごいっす〜!!」

「ウェポンマスターさん達には足元にも及ばないけど……ええと、
試合での、人の動きを見るのが好きでね。
このことになると、その……どうしても話し過ぎてしまって」

「あ〜、咲名も可愛いものの話になると、ついつい熱くなっちゃうっす!
きっとそれとおんなじっすね〜!」

「にしてもアムヴィさんのお話、すっごく面白かったっす!
ね、ね、続きはないんすか〜!

「……面白かった、かい?」

「? うん!とっても!」

「……」

「そうか……なら、良かったよ。
なら今度会った時、是非また話させてもらおうかな。
今は君の話も聞いてみたいんだが……どうかな?」

「! やった〜!めちゃもちろんっす!
そしたらそしたら、咲名がめちゃ最高〜!って思った
スイーツの話なんすけど──!」