RECORD

Eno.263 ユビアサグラーダの記録

まえがき/5

【王国文字からの翻訳】

親愛なる近衛騎士団の兄弟たちへ

どうせ続かぬだろうと思っていた日記でしたが、まさか出立の日まで綺麗に忘れているとは思いませんでした。

ここで過ごした日々を書こうとして──正直、文字にまとめるにはあまりに複雑で、それでいてどれも切り詰めがたく、ただ、故郷に居たならば知らなかったであろう世界がそこにあった、と記すに留めようと思います。

結局のところ、この場においても最後まで己の本性を見失うことはなく──むしろ、そうであったことを思い出すことも多く、最初の頃の懸念は外れました。
火は消えず、正しきを成しきれず、立つ場はいつまでも薄ら暗く。

しかし、変わりはしたのです。俺が俺のまま、進む道を選んだのです。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ここに来るまでに抱えていたものがすべて解決した、という訳ではありません。が、明確に得たものも少なからずあります。

もう、立ち向かうことは恐ろしくありません。
これから成すべきことも、恙無く行えるでしょう。


俺がリンドロンドとして何かを記すのも、これで最後となるでしょう。
皆の知る自分で無くなるのは少し寂しくもありますが、この名は身に先立ち、皆の元に辿り着くのだと思えば、そう悪いものではありません。

それに──皆に胸を張れるような、いい名を頂きました。
千年先に残る名と働きを、どうか地獄で見ていてください。


夢のような場所で、確かに美しいものを見ました。

この記録は、帰る前に焼き捨てることとします。



         53番 "蛇腹"のリンドロンド より