RECORD

Eno.68 Daliusの記録

【またね】

 ×××

角も翼も喪って、共に欠け落ちた記憶の中にあったなにか。

自分の中の、人間ひとのこへの友愛。
その根拠たるを構成する重要ななにか。

そこには誰かが座っていたのだろうか。
思い出せない。手繰っても、さなかにふつりと途切れる感覚だけ。
どれだけ見つめても、ぽっかり空いた空虚があるだけ。
そこにいたかもしれない誰かは、もういない。

「——」

「    」



いつ言葉を話せるようになったのか
いつその温もりを覚えたのか
いつ人と寄り添えるようになったのか

どうして人間ひとのこが好きだったのだろうか。
そうあれと造られたから?
なにか大切な実感きおくを欠いてしまった。それだけはわかった。

行いの代償が、ただ静かに提示されていた。

 ×××


「あなたがずっと 輝いていられますよう」

月は満ち、欠けて。ときが巡ればまた満ちる。
たしかにそこにあるあなたの存在と願い、祈り。
欠けは埋まり、空虚は満たされ。

――月はまた、満ちる。














「…………」

「また会おうね! きっとだよ」

あたらしく、願いをひとつ。