RECORD

Eno.395 ファリーダの記録

こんな夜は

夜が来る。
夜は人の子達が誰もこの場所に近づかないから。
夜は結晶竜にとって神聖なものと、人の子達の間ではそうなっているらしい。

社は音も光もない世界になる。

「それは死んだような夜だと、あなたは言いましたね」



嫌いだった、夜が。
ひとりで眠るこの時間が。

今は。

思い出す、酒場の笑い声。
かんぱいの声。
いつも山盛りのぴざに唐揚げ。
最強のおばちゃん。

目覚まし時計なのに、何度もエリの声を流す。

大丈夫、寂しくない。
……大丈夫。

「ルード……」



こんなに早く祈ってしまったら、あなたはあきれるでしょうか?
寂しがりの幼い竜って笑ってくれるでしょうか?

……祈りたい、声が聴きたい、あなたの鳥籠に囚われたい。

左腕を見ると赤い星。

「本当はいつでも傍にいてくれているのを知っているのですよ」



心臓の近くの赤い星。
大丈夫、ボクはまだ大丈夫。

「でも、泣いてしまう前に来てくださいね」




会いたい……あなたに会いたい……、ルード。


「明日には祈ってしまうかもしれないけれど、笑って許してくださいね、ルード」