RECORD
バイト百景 その6
店長
妖狐。面倒見のいいヤンキーを地で行く。
タバコは未成年と飼い鳥に悪いからしない。既婚者。
好きな武器はステゴロ。
少女
名前はエフェメラ。
薄幸の病弱少女と見せかけた熱血妄想暴走特急。
好きな武器はパイルバンカー。
リベレ
全員誰かの他人の空似であることに納得がいかない。
切実にバリアブルスピアを実装してほしい。
鳥
異様に空気を読んでピチチとさえずるが、
ただのペットの鳥である。
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「うやああああああああ」
「も、猛烈に集中されて……
どうしたんです?」
「今度図書館が主催する
小説のコンクールに出すんだってよ」
「頑張るのはいいことですが
ちゃんとチルしてくださいね」
「う、うん……。
でもあともうちょっと頑張れば
新しい扉が開く気がするの」
「身体が強いわけではないんですから
本当に無茶しちゃだめですよ」
「はい……」
「……でもね、頑張りたいのはほんと。
私、店長さんにはお世話になってばかりだし。
リベレにも応援してもらってるから、
ふたりに何か結果を見せてあげたい」
「時々仕事手伝ってくれてンのに
殊勝なやつ」
(それは否定はしないけど、
それにしてもなんで
店長はこの子には甘いんだろう……?)
「ま、目標があんのはいいこった。
そういやリベレ、渡航券買った?」
「え? いや、まだですけど……」
「さっさとやっとけよ。
アタシもついてくから」
「どうして!?」
「テメェの親父を殴るためだよ」
「……ってのは5割だが、
リベレの行先はアタシにも縁のあるとこでな。
用事ついでに送ってやる」
「それにお前さあ、帰り方わかる?」
「……!!!!!」
「そういえば帰り方わかりません!
えっでもいいんですか?
あの子一人で留守番なのでは」
「先に話は聞いてたよ。
私のことなら心配しないで」
「……ってさ。
18にもなってりゃ留守番くらいできらあ」
「ってわけで、必要なチケットは往復で2人分ね」
「堂々と僕に払わせる気です」
「稼いでんだろ?
……おっ、電話。
お電話ありがとうございま~す、
闘技衣装の【銀の糸】……
え? 間違い電話?」
「ピ~チチチ」
「何もかも納得がいかない……」
「人生ってそういうものかも」
「嫌な悟り方しますね」