RECORD

Eno.313 《7i.色欲》の記録

***


彼に力を使ってもらった。

ケガをするとは事前に聞いてて、
覚悟はしていたんだけど、想像以上に酷い有様で。

それでも約束通り、生きててくれて。

ケガはひどかったけど、──きれいだった。
きらきら輝く宝石の目。虹色の光。

もうあの輝きを見ることはないんだろう。
力、使う機会はない方がいいから。



その後に開いたふたりだけの夜のお茶会。
お菓子も紅茶も、びっくりするほどおいしくて。
これが『普通』の味なんだなあ。

一緒に同じお菓子を食べて、
同じおいしさを感じられてるんだって、
普通のことが普通にできるのが嬉しくて。

自分がいなくなった後も残るものをあげたかったって、
彼はそう言ってた。
そんなの思い出だけで十分なのに。
ほんと ほんとにさ。頑張りすぎなんだから。

……うれしかった。
ずっとつらくて、でも諦めてたことが。
一転してしあわせで、楽しみなことになって。

キミが好きなもの、いっぱい教えてもらわないと。
共有した味がいつまでも記憶に残るように。



「……………」




左手の薬指、通された銀の指輪。


「無茶ばっかりして嘘つきで」



「情けないけど、ときに頼りになる」



「可愛くてカッコいい、私だけの王子様」




あしらわれた宝石スフェーンに口付けを落とす。




「愛してるよ、──」