RECORD
Eno.8 スフェーンの記録
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取り上げられた赤子はある年齢に達するまで、居住区ですらないところで育てられる。
幸福たれ。祈りであれ。人の育みをか祝福たれ。
大切に一日中、マザーの監視に晒されている。
歩行、言語取得、年齢相応、ある程度の知識。
“異能”をもつ子供達には信号も番号も振られないから、自力で習得するしかなく。
だからこそ自然であるのかも知れないが。
そこから出た先の記憶しか、自分にはない。
訂正するならば、そこから出て数年後の記憶しか自分にはない。
“居住区”にて。
4.5歳の頃の記憶が、初めだった。
◆
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思えば、あの空間は年月が曖昧であって、なんの季節かもよくわかっていない。
ただ時間の経過は確かにあった。
誕生日は教えられていて。
名前もまた教えられていて、そう呼ばれていた。
自分の名前。誰もが名前。
ちょっとした疑問は子供の哲学。
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簡単な会話だった。
誰に?をその時には聞けなくて。
後日尋ねることとなる。
Record:スフェーン:2
「生まれた時の記憶なんてもんは当然持ってねえ」
「あいにく、俺は普通の人間だ」
「……」
「普通の人間だと思うよ」
取り上げられた赤子はある年齢に達するまで、居住区ですらないところで育てられる。
幸福たれ。祈りであれ。人の育みをか祝福たれ。
大切に一日中、マザーの監視に晒されている。
歩行、言語取得、年齢相応、ある程度の知識。
“異能”をもつ子供達には信号も番号も振られないから、自力で習得するしかなく。
だからこそ自然であるのかも知れないが。
そこから出た先の記憶しか、自分にはない。
訂正するならば、そこから出て数年後の記憶しか自分にはない。
“居住区”にて。
4.5歳の頃の記憶が、初めだった。
◆
「………」
思えば、あの空間は年月が曖昧であって、なんの季節かもよくわかっていない。
ただ時間の経過は確かにあった。
誕生日は教えられていて。
名前もまた教えられていて、そう呼ばれていた。
自分の名前。誰もが名前。
ちょっとした疑問は子供の哲学。
「マザー」
「俺と他の子の名前が違うのはなんで?」
「それはきみがきみだという証拠だからですよ」
「それはつけてもらったもの」
「大切にして、善く過ごしましょうね」
簡単な会話だった。
誰に?をその時には聞けなくて。
後日尋ねることとなる。