RECORD

Eno.8 スフェーンの記録

Record:スフェーン:7

「…馬鹿みてえ」



カルミアからあの動画を見せられた日。
その日から、ただの人間として外に出れないものかと考え始めていた。
あんなもの見せられて具合が悪い。
役者として、そして出演者として出る人間の末路を、俺たちは知ってしまった。

頭をぶん殴られて、世界が一変してしまった。

なんていうか、本当に大回転してしまったようなものだ。
今まで見た景色は、急な黒の絵の具で塗りつぶされていく。
ただ、同時に感じていた違和感のパーツがカチカチハマっていって。
逆に気持ちが悪かった。


「星の声を聞いて、具合悪くして倒れる人たち」



「やっぱ、それって正常ではないって」



「そんなのおかしいって、言って良かったらしい」




けれど、長年染みついたそれを否定するのは心苦しくて。
けれどもあの映像とカルミアの苦しみの是非を調べたくて。

とかく、外に出て、何かしらを見て、真実と、外の世界を見なければいけないのだと思った。

いい子の俺の、初めての反抗。



「俺にはなんの不満もなかったし、害があるなら余計いい子にしてなきゃならない」



「でも、それよりも大切にしなきゃいけないのは、知ってる子の悲しいだと思う」



「ついで、出演者や役者になれることは喜べというマザーへの信頼を疑うような物を見せられて、頭を揺さぶられていた」



本当に喜ばしいことであるって、証明したかったのもあって、クリスオラも元気してるって、カルミアに言いたかった




みたいしんじつをしんじたい!
子供の願望がむき出しになっていて、それしか見えなくて、飛び出す矢のように。



「…」



「……」



「……あとは、自分の名前をつけてくれた人に会いたかったんだ





あの時、後日聞いたこと。
居住区の外にいる人が、自分の名前をつけてくれたのだという。
名前は大切なもので。
そんな大切をつけてくれる人なら。
マザーが言ってた、親という人で。
親という人は、大人らしい。

もしもマザーが、本当にそんなことしてるなら。

親という人は大人だから。

頼るのは、そこしかないって、







害じゃないって、言って欲しかったのかも知れない。

自分が自分であるための証拠らしいから。

だったら、こんなにいい名前もないから。

きっと、害じゃないって、




「馬鹿らしい、馬鹿らしい、馬鹿らしい」




「…………嫌になる




目は自慢だけど、誰にも見せられない。
誰かを苦しめるもので、マザーも嫌がっていて。

意味が欲しい。







「警備は本当にざるで、すぐに居住区の外には抜け出せた」



「……そとの世界」




「都市セレシオン」




……

居住区とはまるで違うその場所と。
人の多さと。
看板に。
肝を抜かれて。


逃げるように、町中をかけていた。