RECORD
Eno.8 スフェーンの記録
“アルクス・アーリゥム”
走れ。
走れ。走れ。走れ。
マザーにバレないように、こそっと抜け出してるから。
そのうち捕まるのかも知れないが、逃げて、逃げて。
逃げるように走っている。
走るたびに、自分たちは世間から隔離されていることに気がついた。
街は整備されていて、建物は均等に立っている。
街を行く人は大人ばかりに思えた。
自分より背が高くて、骨格がしっかりしていて。
働く人、店を楽しむ人、談笑する人。学校は本当にあるらしい。
それらを見るたびに、眺めるたびに、隔離されていることと。
ああきっと、星の声も聞こえないし、変な力もないのだろう。
普通。
自分が異物である、そんな自覚が生えて。
ああでも、誰か助けてくれるって。
だれか、たすけてくれるって、
おれのことを、
![]()
──目があった。
片目と両目がぶつかった。
彼のそばに母親らしき人がいて。
お互いにぼんやり眺めながらも。
そのまま、すれ違っただけだ。
![]()
![]()
![]()
きっと居住区の子供達は、みんな置き換えられている。
ああ、じゃあ、どうすりゃ、助かるんだ。
マザーは信用できなくて、親の元には俺がいる。
出演者はきっとああなって、あとは死ぬ未来だけが広がっている。
そうじゃないのに。
外には大人がたくさんいるらしい。
おかしいから。
みんなは、このあと来る、子供達は、
![]()
![]()
![]()
![]()
![]()
走れ。走れ。走れ。
マザーにバレないように、こそっと抜け出してるから。
そのうち捕まるのかも知れないが、逃げて、逃げて。
逃げるように走っている。
走るたびに、自分たちは世間から隔離されていることに気がついた。
街は整備されていて、建物は均等に立っている。
街を行く人は大人ばかりに思えた。
自分より背が高くて、骨格がしっかりしていて。
働く人、店を楽しむ人、談笑する人。学校は本当にあるらしい。
それらを見るたびに、眺めるたびに、隔離されていることと。
ああきっと、星の声も聞こえないし、変な力もないのだろう。
普通。
自分が異物である、そんな自覚が生えて。
ああでも、誰か助けてくれるって。
だれか、たすけてくれるって、
おれのことを、
「あ、」
◆取り替え子とは
お前のことだ!

びっくりするくらい見知った顔の子供だ。
毎日鏡で見る顔の、子供だ。
子供と言っても、思春期と呼ばれる時期の少年の姿をしている。
だから、自分と全く同い年ということで。
同じだった。
なんだよ、その目。
──目があった。
片目と両目がぶつかった。
彼のそばに母親らしき人がいて。
お互いにぼんやり眺めながらも。
そのまま、すれ違っただけだ。
◇取り替え子とは
俺のこと。

「fiction」
「nonfiction」
「俺は架空の存在で、宙に浮いていた」
きっと居住区の子供達は、みんな置き換えられている。
ああ、じゃあ、どうすりゃ、助かるんだ。
マザーは信用できなくて、親の元には俺がいる。
出演者はきっとああなって、あとは死ぬ未来だけが広がっている。
そうじゃないのに。
外には大人がたくさんいるらしい。
おかしいから。
みんなは、このあと来る、子供達は、
「………」
「目」
「…….目は、すごいから」
「全部ひっくり返せるって、マザー言ってたから」
「………」
すんなり腑に落ちて、落ち着いて、役割がわかったから。帰ることにした。
アルクスは俺に与えられた名前だと、嫌というほどわかった。
あれがアルクスと呼ばれているのだろうことが、酷く悲しかった。
じゃあ俺は誰なんだろうか。
俺は、誰なんだろうか。
あれがnonfictionの実在で、自分は架空のfictionでしかなく。
ただ話に乗せられて、皿の上で踊ってたみたいで。
もうじゃあ、食べられるまで足掻いて踊るかって。
それで誰かが助かるなら、それは、嬉しいことだから。