RECORD
Eno.84 蘢 龘子の記録
ここは九皐の国、九つの群と種族から成る国で
和と言われるような少し不思議な文化が興るところ。
国の中央にある険しい山の中、龍神を奉る神社へとわたしは帰ってきた。
……つまりこれは帰省したときのお話で
そして、一つの大きな区切りの日記になります。
帰ってから色々あったんだけど――そこは割愛。
家族団欒してただけだもんねっ。
◆ ◆ ◆
ということで
今日は、わたしの成龍になる試験の結果が決まる日。
龍神様を祀る社の広間で家族が集まって
わたしの体験を言葉を伝えることになっています。

畳の上で正座をして、
一息ついて、周りを見れば
――父と母と、そして兄姉たちが勢ぞろい。
白銀龍の母はいつものように目を瞑り。
緑地龍の父はいつもの悪そうな笑みを崩さずに。
二人は秩序と混沌を、それぞれ司る偉大な龍
目の前で報告をする。
そう思うと――普通は緊張してしまうのだけど。


意外にも言葉がすらすらと出てきて笑みが零れてしまう。
でも、そう。
何でかは分かる。実際ちょっと余裕なんだ。
――素敵な思い出話をみんなに聞かせたいだけだから、かも。
◆ ◆ ◆
わたしが語るのは4つの物語。
わたしがてくてく歩んできた話
そして、わたしのトクベツなヒト達と紡いだ大事な思い出の話。
よどみなく、言葉に出していく。
成龍になるために、フラウィウスに来てから出来ることを何でも試してみた時のこと。
起承転結でいうなら起こりの話。
『縁』の権能の修行と、力試しをかねて剣闘王になったこと。
乱闘と呼ばれる戦いも頑張ってみたこと。
そうしていろんなヒトと友達になって縁を得て、
立派にな龍になるために必要なこと――使命と責任は両輪だという灯を見つけたこと。

友達を助けるつもりの縁結びの儀式で、
呪いの蛇神を視てしまい、『縁』伝いに呪いに侵されてたこと。
蛇神の呪いは魔の存在が呪いの対象を贄と誤認するものでした。
――龍から蛇へ、蛇から魔物へ
蛇神と縁が繋がってしまえばもう
それを伝って下へと引っ張られて転がるように、呪いはわたしを魔の存在へと容易く堕とし。
そうして、呪いに負けて――友達を食べてしまえば。

使命を否定し、わたしさえも否定して
存在が壊れてしまうような傷を己に刻んで。
それでもわたしを救ってくれたのは――わたしが食べて傷付けてしまった筈の友達でした。
恐怖と葛藤と、本当のわたしの願いに初めて向き合った物語。
一度救いの手を受けてわたしは少し落ち着いたけれど
二度あの呪いを視たらわたしは変質せざるをえない予感を感じていて。
けれども友達を諦めることができず、悩み続けて。
何もできなかったわたしを助けてくれたのは、大事な友達でした。
わたしが本当は何をしたいのか教えてくれて、
してもいいんだって、背中を押してくれた素敵な友達。
彼女のお陰で、使命も友達も全部、
わたしのやりたいことを諦めずに向き合うと決めて

危険を冒して得た、大切な縁という宝物の話。
わたしが傷つけてしまった友達に、謝って、気持ちを伝えて。
二度目の儀式で呪いの元凶――蛇神と対峙する。
気合だけじゃただの二の舞になるから。
『わたし』を応援するような、祈りを友達に御守へ込めてもらって。
呪いの浸食を食い止めたこと。

無理を通さばなんとやら。
遂には呪いにも、神にも、わたしにも打ち勝って。
打ち勝てた理由は勿論、友達のおかげ。



すーぱーつよつよどらごんになるために、決闘王を目指して戦った大会での日々
惜しくもてっぺんは取れなかったけれども――
素敵な友と鎬を削る毎日を、飛び切りの笑顔で家族に伝える。
わたしたちみんなの、競演の物語!

◆ ◆ ◆
全ての物語を話し終えて
わたしは改めて家族みんなを見回してから、更に言葉を紡いでいく。



不遜にも、神と龍から授かった使命に――その先なんて言葉を付け加えて。
しかも偉大な二龍を前にして、成龍になるだなんて宣言をして。

ニヤリ、ちょっとだけ悪い笑顔。
父のような混沌めいた顔で天を指す。
友達は、好きなことを沢山探してた。
友達は、ヒトの幸福を、友達の幸福を願ってた。
生きることは幸せを掴むこと、そういう答えを得て。

だから、翼が欲しい。
成龍になって
立派になって
使命も果たして
友達も、わたしも幸せになるための
とっても大きい翼を手にして!その先へ向かうために!
――目標は、もう定まりました。


てくてくどらごん
ここは九皐の国、九つの群と種族から成る国で
和と言われるような少し不思議な文化が興るところ。
国の中央にある険しい山の中、龍神を奉る神社へとわたしは帰ってきた。
……つまりこれは帰省したときのお話で
そして、一つの大きな区切りの日記になります。
帰ってから色々あったんだけど――そこは割愛。
家族団欒してただけだもんねっ。
◆ ◆ ◆
ということで
今日は、わたしの成龍になる試験の結果が決まる日。
龍神様を祀る社の広間で家族が集まって
わたしの体験を言葉を伝えることになっています。

「――ふぅ」
畳の上で正座をして、
一息ついて、周りを見れば
――父と母と、そして兄姉たちが勢ぞろい。
白銀龍の母はいつものように目を瞑り。
緑地龍の父はいつもの悪そうな笑みを崩さずに。
二人は秩序と混沌を、それぞれ司る偉大な龍
目の前で報告をする。
そう思うと――普通は緊張してしまうのだけど。

「それでは、お話しします」

「わたしがかの地で紡いだ、素敵な縁と4つの物語をっ!」
意外にも言葉がすらすらと出てきて笑みが零れてしまう。
でも、そう。
何でかは分かる。実際ちょっと余裕なんだ。
――素敵な思い出話をみんなに聞かせたいだけだから、かも。
◆ ◆ ◆
わたしが語るのは4つの物語。
わたしがてくてく歩んできた話
そして、わたしのトクベツなヒト達と紡いだ大事な思い出の話。
よどみなく、言葉に出していく。
――道標の物語
成龍になるために、フラウィウスに来てから出来ることを何でも試してみた時のこと。
起承転結でいうなら起こりの話。
『縁』の権能の修行と、力試しをかねて剣闘王になったこと。
乱闘と呼ばれる戦いも頑張ってみたこと。
そうしていろんなヒトと友達になって縁を得て、
立派にな龍になるために必要なこと――使命と責任は両輪だという灯を見つけたこと。

「成龍になれば立派などらごんになれると思っていましたけれど」
「実は、そうじゃないのですよね」
――迷子の物語
友達を助けるつもりの縁結びの儀式で、
呪いの蛇神を視てしまい、『縁』伝いに呪いに侵されてたこと。
蛇神の呪いは魔の存在が呪いの対象を贄と誤認するものでした。
――龍から蛇へ、蛇から魔物へ
蛇神と縁が繋がってしまえばもう
それを伝って下へと引っ張られて転がるように、呪いはわたしを魔の存在へと容易く堕とし。
そうして、呪いに負けて――友達を食べてしまえば。

「こんなわたしが、ヒトと共にあることなんて、もうできないって思っちゃいました」
使命を否定し、わたしさえも否定して
存在が壊れてしまうような傷を己に刻んで。
それでもわたしを救ってくれたのは――わたしが食べて傷付けてしまった筈の友達でした。
――対峙の物語
恐怖と葛藤と、本当のわたしの願いに初めて向き合った物語。
一度救いの手を受けてわたしは少し落ち着いたけれど
二度あの呪いを視たらわたしは変質せざるをえない予感を感じていて。
けれども友達を諦めることができず、悩み続けて。
何もできなかったわたしを助けてくれたのは、大事な友達でした。
わたしが本当は何をしたいのか教えてくれて、
してもいいんだって、背中を押してくれた素敵な友達。
彼女のお陰で、使命も友達も全部、
わたしのやりたいことを諦めずに向き合うと決めて

「『すーぱーつよつよどらごんに、わたしは成ります』って誓ったんです!」
――冒険の物語
危険を冒して得た、大切な縁という宝物の話。
わたしが傷つけてしまった友達に、謝って、気持ちを伝えて。
二度目の儀式で呪いの元凶――蛇神と対峙する。
気合だけじゃただの二の舞になるから。
『わたし』を応援するような、祈りを友達に御守へ込めてもらって。
呪いの浸食を食い止めたこと。

「おおきな楔に『縁』って名前の網かけてッ!気力勝負の綱引き勝負~!!」
無理を通さばなんとやら。
遂には呪いにも、神にも、わたしにも打ち勝って。
打ち勝てた理由は勿論、友達のおかげ。

「素敵なともだちという縁が、わたしを助けてくれました」

「失敗も成功も、きっとわたしひとりだけでは起きなかった事だから」

「縁を通じて得た全てが」
「歩んできた物語が」
「とーっても…大切な思い出です」
――もう一つの物語
すーぱーつよつよどらごんになるために、決闘王を目指して戦った大会での日々
惜しくもてっぺんは取れなかったけれども――
素敵な友と鎬を削る毎日を、飛び切りの笑顔で家族に伝える。
わたしたちみんなの、競演の物語!

「みんなと、共に歩んだ――さいっこーーのお祭りでした!!」
◆ ◆ ◆
全ての物語を話し終えて
わたしは改めて家族みんなを見回してから、更に言葉を紡いでいく。

「ヒトと共に在って」「ヒトと友達になって」「ヒトと共に歩んで」
「大切な物語を紡ぐことができました」

「でも、使命にはもっともっと先があるって分かったから」

「だから――わたしは成龍になります」
不遜にも、神と龍から授かった使命に――その先なんて言葉を付け加えて。
しかも偉大な二龍を前にして、成龍になるだなんて宣言をして。

「――わたしはヒトと共に生きる、龍になる!」
「ヒトと共に幸せを掴む、そんな龍になりますっ!」
ニヤリ、ちょっとだけ悪い笑顔。
父のような混沌めいた顔で天を指す。
友達は、好きなことを沢山探してた。
友達は、ヒトの幸福を、友達の幸福を願ってた。
生きることは幸せを掴むこと、そういう答えを得て。

「友達に約束したんです」
「あなたをどこへでも連れてってあげれるような、とってもでっかい龍になるって!」
だから、翼が欲しい。
成龍になって
立派になって
使命も果たして
友達も、わたしも幸せになるための
とっても大きい翼を手にして!その先へ向かうために!
――目標は、もう定まりました。

「わたしに、飛翔するための翼をくださいっ」

「これが、わたしがフラウィウスで得た『縁』と『答え』です!」