RECORD

Eno.883 ハイドラの記録

悪魔憑きの子供たち

悪魔憑きとは:悪魔と呼ばれる種族と契約した者たちの総称。
       主に人間が契約を果たすようだ。
       その多くは私利私欲のために自らの魂と糧を捧げ、
       人理を超えた力を手にすると言われる。

       また、_


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「あれ、どうしたんです先輩、珍しくタイピング止まってますよ」
「勝手に原稿覗き込むんじゃねぇよ」
「いいじゃないですかちょっとくらい。…悪魔憑きについてです?」
「そうそう。とはいえ、まだよく分かってないことの方が多い話だろ。どう話を増やそうかと思ってな」
「えー。……じゃあ、可愛い可愛い後輩からの質問です」
「何が可愛いだ」
「まあまあ。……こういう、所謂悪魔との契約とか、そういうのって子孫に遺伝はするんですか?」
「うん?あー……いいや。じゃあ少し話すか」


「そもそも悪魔っていうのは、人間の欲の強さに反応して近寄り、それを煽り誑かして契約し、糧や魂を得る存在とされている。
人の魂とか欲そのものを狩って生きる奴らだな」
「本当にいるんです?結構な人種いますけど、魔族の類ってなかなか希少ですよね」
「いるよ。多くはその他の人種とほぼ変わりなく過ごしてる。見た目の特徴が千差万別で、一目でそれとは分かりづらいのが要因かもな」
「へぇー…」
「で、契約が遺伝するかどうかだったな。
答えはNOで、ただし、の注釈がつく」
「ただし?」
「そう。遺伝はしないが、悪魔憑きが子孫を残した段階でその子供たちに『マーキング』がつくと言われている。
悪魔と契約するような輩なんてそもそも欲が尋常じゃなく深い奴らだ。契約が遺伝しなくてもその性格やらは遺伝しやすいし、何より子供が生まれる環境が偏ってる可能性は非常に高い。そこに営業かけると通常より契約が取れやすいんだろうな」
「なんか……カルト宗教の勧誘みたいな……」
「大体そうだろ悪魔ってのは」
「偏見!」
「兎も角、そうやって生まれてしまった悪魔憑きの子供は、虎視眈々と崩れるときを狙われるわけだ。その中でも特に気に入られた奴なんかは、生死の一瞬の隙すら突かれるらしい」
「マーキングを解く方法とかないんですか?」
「……契約する前に、悪魔の目の届かないとこまで逃げる、くらいしか思いつかんなぁ。まぁそれも、契約しちまったら終いだろうけど。なんせ、ああいう奴らは簡単に世界すら超えるっていうからな」
「ひぇ……」

「悪魔憑きも悪魔共も、中々話聞く機会ないからな、分かってることは少ないんだよ」
「よくその題材を締切間近のコラムのテーマにしようと思いましたね」
「いいだろ別に。……さて、続き書くか……」

「あーあ、〆切伸びねぇかな、悪魔さんよ」
「そんな簡単な欲で来るわけないでしょ」