RECORD
薄翅:偏見
「……で、話を聞いてほしいんだね」
「はい……」
「ではこのエフェメラさんが
小説のネタにしたいという下心を捨てて
友達のリベレのために全身全霊で拝聴するよ」
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リベレ
女っぽく見られたくないというだけの理由で
自分の性別に駄々をこねて18年経った少女。
エフェメラ
速い乗り物とか熱血展開とか変形合体とか
男が好きなものが好きすぎるだけの少女。
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「友達に自分が女であることを言えていなくて……。
多分ずっと男性だと思われているだけに、
騙しているような気がして心苦しいんです」
「ふむふむ。まず整理しよっか。
リベレは女の子だけど……男の子に見られたいんだよね?」
「本当に男性になりたい、
というほどのものではありませんけどね。
身体も中性的なアバターのもので、女性であることを
知っているのはバイト先だけです」
「自分の性別を伝えたいという気持ちがある?」
「とても仲良くさせてもらっているので。
嘘をついているような今の状態は、
あまり好ましくないのではないかと」
「……でも、言うのが怖いんだね」
「そりゃ、そうですよ。今までの関係を壊してしまうかも。
僕は異性間の友情を信じていますけど、
相手が委縮してしまうかもしてませんし」
「それに……、僕個人の心苦しさのために、
相手にとっては知らなくてもいいことを伝えるなんて。
ちょっと身勝手とも思いませんか」
「リベレは……友情のことナメてるでしょ」
「最近店長に似てきました?」
「秘密を共有することは、
お互いの友情を深める大事なステップだよ。
私とリベレがそうしたように」
「大丈夫だって! リベレの大事な友達なんだから、
リベレがどんな子でも受け入れてくれるのは
わかってることじゃない」
「それは、そうでしょうけど……」
「……ゆっくり考えてからで、いいことではあるよ」
「でもいい機会かもしれないよ。未来のことを考える」
「私たちは最初から、リベレが女の子だって知ってたから……
お友達に話すことが、リベレにとって一番、考えを整理できるかも」
「一度、時間を取ってもらってもいいんじゃないかな。
私が友達だったら、喜んで話聞くよ。今みたいに」
「……大丈夫だよ!」
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「……本当はわかってるんです、
優しい友達だから、ちゃんと受け入れてくれるし、
何も変わらないままでいさせてくれることも」
「僕が恐れてるのは、
これからを“決めなければいけない”ことだ……」