RECORD
story:有るそれに関しての話
「私たちは存在を失った」
否、失わされた。
「しかしまあ、問題ないだろう」 「元々は、私たちの支配下に置かれているのだから」 「雷、水、風」 「全て名ありの貸しものだ。力の一端を貸し与えている」 「──また、得てして例外は存在する」 「創作物の概念とて、長年語り継がれれば」 「神という名前を受け、何千年と後にも語られる名前であるから」 「どんでん返し、超展開」 「それは今回、目に力を分け与えた」 「目が合う人の見通しをめちゃくちゃにするから、視界の回転が起こるのだ」 「見る人の過去を無理やり捻じ曲げて結果だけを引き摺り出すから、どんでん返しと呼ばれるのだ」 「──機械仕掛け」
あの機械が支配したから、私たちは殺された!
ああ、実際は殺されていない。
首の皮一枚がつながっている。
星と宇宙の間に私たちは住み着いた。
乖離された私たちは、空へと逃げ込んだのだ。
もはや地表は私たちを必要とせず、彼らは私たちを忘れている。
信仰は地に着くものであり、血に着くものである。
私たちは降り立つ大地を失い、降り立つ社を失い、そして迎える人々を失った。
もはや受け入れるのは不可視の空中だけであった。
星の声は私たちの透明な体に響いてやかましいことこの上ない。
不快だった。私たちはこの星のものであったものだから。
この星を支配するものであったから。
故の不快。
外側からの乱入者が不快でないはずがなかった。
それは明確な外側であり、害するものであるのは明白である。
知らない、知り得ない、資料がない。
未知に足を踏み入れるのではない。
インベーダー。
鼓膜越しの頭の侵略であった。
しかして、首のかわ一枚で繋がっている延命を無駄にするわけではない。
私たちは空からかつての人々に訴えかけている。
星の声に紛れ込ませている。
微々たるものだ。これは星の声を阻害し、しかし自分の声が届くものでもない。
けれど、星の声が聞こえるのなら、私たちの声が聞こえるのなら、それは他の人間より許容範囲、キャパが大きいということなのだろう。
未知を受け止める領域、肥大。
だから、力を貸し与えている。
人間にとっては大きすぎる力であり、“すぐに溢れるだろうもの”を。
しかし、干渉できない私たちにとっては、それしかできないのであった。
その力を持って、平定を。
君たちには授けられた意味などわからないのだろうが。
私たちは望んでいる。
君たちの支配の脱出を。
私たちは信仰を失った。
私たちは祈りを失い、それは機械へとすり替えられた。
私たちは人を失った。
復権をもとめるから、人を利用している。
ああ、それだけ。
ただそれだけだよ。
励めよ、人の子たちよ。
神の支援であるからゆえ。
星の声に耐えろよ。そして、神の声にも耐えろよ。
だから意味がわからなくなっていた。
神は死んでいる。間違いなく死んでいる。
神は生きている。虎視眈々と狙っている。
人は、その元に。
──世界の秘密を解き明かせないのだ。誰も彼も。
そしてきかいもまたそうであり。
──だから、もう、あとは彼に視点を絞ろう。
この土地に踏み入れる直前の、彼の話を描こう。
──終幕を。