RECORD

Eno.63 マートルの記録

天から降り注ぐ光

フラウィウスを離れ、私のあるべき場所へと帰る。
かつて暮らしていた王国ではなく積乱雲の中に舞い降りると艶やかな黒を持つ竜が座っていた。

黒竜、ヴェルトール。

数百年前の厄災で傷を負っていた私の父。

「マートル…!無事だったか」


「あぁ、お父様!
 私マートル、長きにわたり、漸く戻ってまいりました」



父の長い首を抱きしめて、再会を喜ぶ。
しかしこうしている時間も惜しいと現実は酷い状態だ。

「お父様、……行くのですね」


「あぁ…、遂に、遂にこの時が来た。
 私の恨みを、憎しみを、悲しみを、苦しみを、解放する時が来たのだ!」


「…えぇ、一刻も早く全てをあるべき形に還さねばなりません」


「──行くぞ、マートル」


「はい、お父様」




我らのマールを救いに。