RECORD

Eno.26 群衆の記録

帰る直前と後

「ああ、存在とは空虚なものだ。
皆が有象無象のシルエットに見えてしまった、ということはきっとここには居れないんだろうな…
まあ、戦闘は代わりにやる奴がいるらしいから良いのか?」



段々聞こえる音もノイズ混じりだ。他からはなのだろうな、と思考した。
波の音も上手く聞き取れない、早めに帰らないといけないだろう。

「………はあ……なあ、水天神?《法則》を作ったんだろ?この法則を変えてくりゃしないか?」



傍から見ると、印象の薄いシルエットが何か音を発しているだけだ。

万物に大して誰なのか分からなくなるってホラーだと思わないのか?

否定、寂しいものだ。


それとも知り過ぎたら壊れるのか?

肯定、飲まれる。



……まあ、それはきっと違う話だから置くことにした。
何にせよ、

「………駄目か、異世界だからサポート外ってことか、もしくは結局何者にもなれなかったから大人しく帰ってこい、って事だろうな」



……海は静かに砂を運んでいる。


家族からはどんくらい居なかった扱いされるんだろうな。
ド叱られたりするのだろうか、シンプルに嫌だな…

もう、仕方ない、帰るか…

最後に、静かに振り向いたら、ため息のようなものをついて立つ。

帰る為に、誰もいない浜辺からそのまま立ち去った。


その後

なんて事だ、全く気にされてなかった。
異世界漂流?大変だったね〜?だって???

ふざけんな!!!!意識しろ!!!さすがに傷つくんだが!!!!!!
………ああ、どの世界に居ても俺が居なくてもちゃんと世界は回るんだ、

消えてもきっと笑顔で過ごすんだろうな


はあ………ふざけんな、冗談じゃねぇよ



そんな悪態を一人でついた時、何も無い場所からコツン、とものが落ちてきた。

それは忘れ物、と書かれたメモと緩衝材に入れられた菓子包と懐中時計だった。

おかしいな…
…………ちゃんと、持ち帰って棚に入れてたんだが………


……ふ………

アッハッハッハッハッハ、なんだよ、面白れ〜



何がおかしいのか分からないが笑った。

きっとおかしいのは自分だろうが。
まあ、何にせよ良いか、忘れていたな、応援で貰った物を、勝利を、スイーツバベルを……

せっかくだ、箱を開けて菓子でも食べよ………


………




……あっ、ああ!?!?



……緩衝材の奥底に……

それはもう丁寧丁寧丁寧に煮付けられた闇属性マシマシの弓と鎧があった………

………わ、



「忘れ物ってコレかーーーー!?!?!?」


異世界の残り香は大量にあった。