RECORD

Eno.576 ELMERの記録

月夜と蒼

かつかつかつかつかつかつかつかつ。

何が、こんなにも難しいのだろう?
ずっと、ずっと考えている。思考を放棄しきれない。
あの男ルラキはずっと付き纏ってくる。
ガキシンディリスはいつまでも殺しに来ない。
野うさぎフィリアは別の道を見つけ、明明後日には居なくなるという。

どうでもいい。どうでもいいんだ、そんな事。


かつこつかつかつかつこつこつこつかつかつ………かつん。

鼓動は無く、路地に差し込む月夜の下。尻尾で自らの下顎を撫でた。

「…何故こんなにも、体がざわつく?

死にたいだけのはず。
それ以外考えてはいけない。
考えたら、考えてしまったら……


次こそ死にたくないと叫んでしまいそうで―――


「……違う、それは私じゃない。それは…アイツの思考……私は道具。罪を背負って死ぬべき獣……っ


……苦しい。息が詰まる感じがする。

(呼吸なんて、してないのに……)