RECORD

Eno.576 ELMERの記録

【アウル】夜の徘徊者①

………随分と静かになった。

かつ、こつ、かつ、かつ…

人気の無い研究所を歩く。幾つもの血痕と、何かが暴れた痕跡。たまに手形や、靴の跡が残っている限り…この研究所も、壊れた後らしい。

(生存は無し、生物兵器の生き残りも、既に外に出てしまっただろうか)

目的は脱走したものの排除。つまり生物兵器も殺さねば…

かつ、こつ、研究所の奥へと歩く。横目にマップを見て、さらに奥へと。

(……見つけた)

最奥にいるは、最高指定の目標。半身を竜に侵され、青色の結晶へと化した人間もどき。

「…だ、れか……そこ……ニ…?」
(意識がある。肉体以外は成功していたのか)
「……だ……レ…?」

パキ、と脚の刃を展開する。纏わせるは向こうと同じ、青色の結晶。

…竜は竜にしか殺せない。この結晶は、竜の体の一部であり、目の前の半人を殺すには、これが必要不可欠となる。

(生物兵器に食われても絶命出来なかったのだろう。今ここで殺してやる)
「…………」

脚を振り、首を刎ねる。
青色の結晶が互いに相殺され、ボロボロと半人の体が崩れていく。不滅である結晶が相殺され、そこには何も無くなった。

ずき、と頭が痛む。結晶は使えば使うほど、体が変化していく。呪いのように、体を作り変えられる。普通の人間では耐えられない。そのスピードと変化の量に。

…私はそれが嫌だった。進化なら、平等に与えるべきだ。こんな無理やり調整された体で、扱っていいものじゃない。

(竜を、殺す。ヒトが残した痕跡を追って、竜を、世界を…)

かつ、こつ、かつ、かつ、かつ……