RECORD

Eno.576 ELMERの記録

【アウル】夜の徘徊者②

失敗作。私はきっと、そう呼ばれるのだろう。
竜の体の一部を使い、生み出されたプロトタイプ。その体から造られた、2体いるうちの1体が…私。

…しかし、私は体を維持する為の器官が。もう1体は体のほとんどが未成熟なまま成長する事はなく、ソイツは蒸発。私は、その残った体を使って生かされる事になった。
互いに同じ肉を使って生み出されたクローン、故に適合性など確認するまでもない。

尻尾という器を作り、私の体にソイツが接続される。私の体の要らない部分は、くり抜かれ、切り落とされ、代わりに生命維持装置と義足が組み込まれた。

(こんな事をしても、アナタ方人間は結局滅んだ。何度も、何度も同じ人間を使って竜に打ち勝とうとしていたのに)

人間を滅ぼすまでに至った呪いは、不思議と人間以外の動物には影響が無かった。理由や原因は不明。私のような半獣人は、体に大きな影響は出ずとも竜晶を使えば呪いが進む。

(もう少し遠くへ行けば、獣人へと成れた人間がいるのかしら。この姿で行っても、化け物扱いだろうけど)

夜を歩く。僅かな月明かりだけを頼りに、世界のように闇の深い森の中を。最後の人間に受けた命令を完遂するために。

ピィ……

(………鳴き声?)

声のした方へ歩を進める。この時はなぜそちらに歩いたのか、分からなかった。
ただ行かねば。そう思ったから行った。小さな鳴き声を頼りに、その姿を探す。

(いた……けど…)

鳴き声の主はまだ若い鳶。この森の木にぶつかり、そのまま墜落したのだろう。翼の片方が折れ、夜目も利かないまま力無く倒れている。

(可哀想に。痛みで動く事も出来ないのね)

しゃき、と脚のブレードを向ける。どうせこのままでは朝にでも野生動物に生きたまま喰われるのだ。ここで殺した方が……

(…………まだ、装置の猶予はある)

殺せば、なんてことは無かった。だがその時の私は、それを殺す事が出来なかったのだ。
尻尾で痛めつけぬように抱え、木にもたれかかり、そのままずるずると座り込む。機械の足は疲れを知らぬが、私はまだ生身。多少は疲れを感じた。そのように言い訳をつけ、私は休む事にしたのだ。

(私はアナタに治療を施す事は出来ない。でも、せめて柔らかい寝床にはなってあげる…)

ゆっくり、目を瞑る。眠る事はなくとも、少しだけ……