RECORD

Eno.576 ELMERの記録

【アウル】夜の徘徊者⑥

生命維持装置の補修は何とかなった。
酷くお腹が空くけれど、どうせ食える物なんて少ないから我慢した。

(……どれくらい経ったろうか…)

本来意図されていた生命維持装置の活動限界はとうに越えていた。今はただ歩き、たまに鳶のご飯にありつかせるだけの徘徊者だ。
…ヒトはもう居ないのだろう。日が経つごとに、野生動物の気配のみが色濃くなっていく。
獣人種…ヒトが作ろうとした新しい人類は、結局繁栄なく途絶えてしまったのだろうか。あの気配も、全く感じない。

血の繋がりは無い。
血を遺すことも無い。
寂しいと思う心は、初めから持っていなかった。
天涯孤独。ヒトの作った言葉がこれほど似合うと思ったことは初めてかもしれない。

(誰も私を終わらせることができない。
…でも、それでいいんだ。今の私は、この子が飛び立つその日まで見守る使命があるから)

尻尾を巣のようにして眠る鳶を眺めながら、獣は目を瞑る。


……その時、微かにヒトの気配がした。