RECORD
Eno.576 ELMERの記録
【アウル】夜の徘徊者⑦
(なんだ…!?)
狭い廊下を駆け外に飛び出す。追っ手は4人…生命維持装置の都合上ここから遠くへは行けない。
(クソッ、クソックソッッ!!今更、亡霊が動き出すなんて聞いてないぞッ!)
追いかけてきた獣人。いや…死体。それぞれ人とも獣とも呼べぬめちゃくちゃな顔、手足は機械へと置き換えられ、人の形こそ保っているのにただの化け物。…アレと私が同列だということを除けば、なりたくないと思えるデザインなのは確かだ。
私たちが裏切った時の最後の予防策。竜の血を体に、武器にねじ込まれた特攻部隊。今になって起動する理由なんて、たった一つだ。
(私を殺す為だけ、生命維持装置の超過稼働に気付いて殺しに来たッ!!)
振り下ろされる槍を蹴り飛ばし、巻き込むように首に脚の刃を滑らせる。赤い血が噴き出し、よろけた所にもう一撃を加えた。
(こいつらも竜の血を貰ってる…一撃じゃ死なない。でも確か…不死では無かったはず……)
ピィ!と声が鳴る。すぐさま振り向き、尻尾を避けながら突き飛ばした。鮮血を上げた個体とは別…コイツらの嫌な所は、数で押してくる所。不出来な個体だから、数を寄せ集めて殺しにくる。囲まれたらあの槍で竜の血が打ち込まれる。そうなったら終わりだ。
(私たちのフィードバックがされた二世代目。アイツと違って、武器は固定されてるからそれだけをインストールし、命令系統は予め頭に打ち込んであるって言うことか……)
人間は、ここまで生物を歪めた。そして、自分達が消えた後も、自分達のエゴを押し付けに来る。
(…ふざけんな……私が見つけた余生を、お前らのエゴに潰されてたまるか……ッ!)
避けて、蹴る。避けて斬る。何度も立ち上がってくる相手を、何度も、何度も蹴り倒して。
(体力が…持たないか……!)
自分の限界は分かっている。鳶を護りながらは、一撃当たれば即終了のこの状況下では、どう足掻いても勝てない。
走って、走って。周りが追いつかなくなった頃。翼の治りきっていない鳶を木の上へと移した。ようやく巣の役割を持っていた尻尾を伸ばし、準備運動とばかりに近くの別の木へ尻尾を叩き付ける。ひしゃげた幹が、まだ衰えていないことを知らせてくれた。
(…ごめんなさい。アレが来てしまった以上、もうアナタとはいられない。アナタは生きなさい、ヒトに縛られない、その自由な翼でどこかへ飛んで。治ってからでいいから)
ただ巣の代わりをしていただけ。ただ翼が治るまで面倒を見ていただけ。殺さなかった責任は十分に果たした。自分でそう思っている。だから、これでお別れ。
私が死んでも、この子にはなんの罪もない。私たちヒトが滅びきっても、この子達は竜の影響を受けずに生きていく。
(……さようなら。アナタがいてくれたから、今の私は生きていたわ)
踵を返す。近付いてくる気配を感じながら、こちらからも駆けていく。
世界の為に、私たちは要らない。ならば。
(刺し違えてでも、アナタ達は残さない。私が全員、地獄へ送ってあげる……ッ!)
狭い廊下を駆け外に飛び出す。追っ手は4人…生命維持装置の都合上ここから遠くへは行けない。
(クソッ、クソックソッッ!!今更、亡霊が動き出すなんて聞いてないぞッ!)
追いかけてきた獣人。いや…死体。それぞれ人とも獣とも呼べぬめちゃくちゃな顔、手足は機械へと置き換えられ、人の形こそ保っているのにただの化け物。…アレと私が同列だということを除けば、なりたくないと思えるデザインなのは確かだ。
私たちが裏切った時の最後の予防策。竜の血を体に、武器にねじ込まれた特攻部隊。今になって起動する理由なんて、たった一つだ。
(私を殺す為だけ、生命維持装置の超過稼働に気付いて殺しに来たッ!!)
振り下ろされる槍を蹴り飛ばし、巻き込むように首に脚の刃を滑らせる。赤い血が噴き出し、よろけた所にもう一撃を加えた。
(こいつらも竜の血を貰ってる…一撃じゃ死なない。でも確か…不死では無かったはず……)
ピィ!と声が鳴る。すぐさま振り向き、尻尾を避けながら突き飛ばした。鮮血を上げた個体とは別…コイツらの嫌な所は、数で押してくる所。不出来な個体だから、数を寄せ集めて殺しにくる。囲まれたらあの槍で竜の血が打ち込まれる。そうなったら終わりだ。
(私たちのフィードバックがされた二世代目。アイツと違って、武器は固定されてるからそれだけをインストールし、命令系統は予め頭に打ち込んであるって言うことか……)
人間は、ここまで生物を歪めた。そして、自分達が消えた後も、自分達のエゴを押し付けに来る。
(…ふざけんな……私が見つけた余生を、お前らのエゴに潰されてたまるか……ッ!)
避けて、蹴る。避けて斬る。何度も立ち上がってくる相手を、何度も、何度も蹴り倒して。
(体力が…持たないか……!)
自分の限界は分かっている。鳶を護りながらは、一撃当たれば即終了のこの状況下では、どう足掻いても勝てない。
走って、走って。周りが追いつかなくなった頃。翼の治りきっていない鳶を木の上へと移した。ようやく巣の役割を持っていた尻尾を伸ばし、準備運動とばかりに近くの別の木へ尻尾を叩き付ける。ひしゃげた幹が、まだ衰えていないことを知らせてくれた。
(…ごめんなさい。アレが来てしまった以上、もうアナタとはいられない。アナタは生きなさい、ヒトに縛られない、その自由な翼でどこかへ飛んで。治ってからでいいから)
ただ巣の代わりをしていただけ。ただ翼が治るまで面倒を見ていただけ。殺さなかった責任は十分に果たした。自分でそう思っている。だから、これでお別れ。
私が死んでも、この子にはなんの罪もない。私たちヒトが滅びきっても、この子達は竜の影響を受けずに生きていく。
(……さようなら。アナタがいてくれたから、今の私は生きていたわ)
踵を返す。近付いてくる気配を感じながら、こちらからも駆けていく。
世界の為に、私たちは要らない。ならば。
(刺し違えてでも、アナタ達は残さない。私が全員、地獄へ送ってあげる……ッ!)