RECORD
Eno.563 ブルーバードの記録
天浅葱の日記2
父上の目に、私はどう映っていたのでしょうか。
遅くなってからやっと授かった娘。
血に破邪の力があるといわれ、金や権力に一切興味を示さない、様子のおかしい娘。
私が金や権力を嫌ったのは、本物の愛情を知っていたからでしょう。
父上の厳しくもおおらかな愛情
奉公くださっていた皆様の愛情
金と権力を目当てにやってくる許嫁候補の男児達より、その方が好きだったのです。
幼心に、大変な所に生まれてしまったことは理解していて、平穏に生きることは難しい、どうせ自殺か他殺に終わる短い命だろうと覚悟をしていました。
最初に習うのは、自害の方法ですものね。
ですが……その覚悟をしていたにも関わらず大きな悔いが残ったのは
皆様にいただいた愛が真実であったこと、自分も皆様を愛していた証拠なのでしょう。
本来、愛情などという言葉とは程遠い、金と権力と欲と血に塗れた場所。
よりによってそこで、あえてそこで、私達は愛を唱った。
私は、私達が負けたとは思っていません。
理不尽に死に、幼くして計略に斃れた皇子皇女達の血が、人は思いやるものであるという今の価値観を作りました。
その血でもって、ああいうことは起こしてはならないと、絶対にダメだと、そういう事実を積み上げたのです。
父上の計略、お見事でした。
転生を経ても私には、誰がどうしてなんの目的で私に暗部をもってきたのか、まったく解りませんでした。
転生後の王子も喋らなかったんですよ、これっぽっちも。
私一人に絶対気取られないようにするには、私以外の全員が計略の概要を知っている必要があります。
姫様に何を言ってはいけないのかを知らなければ、言わないという行動が正しくできませんから。
そして、王子が計略を知らないということもありえません。
もし王子が知らなかった場合、子供二人でトンチキな行動をする可能性があります。
王子は何も知らない姫様を宥め、予定通り事が運ぶよう行動しなければなりません。
……ですよね?父上。
父上が王子に下した命令はきっとごくごくシンプルなもので
『自分の死を娘に伝えるな、追手が来たら全力で振り払え』
そんな感じのものだったのではないでしょうか。
彼がどこで何に諦めたのか、というのは諦める理由が沢山ありすぎて絞れません。
どう考えてもスタートから勝ち目が薄い上に、道中で姫様を身重にしたら死がもっと近づいてしまう都合上、彼が姫様の近くにいることも良くは思われなかったかもしれません。
いつもガチガチに護衛がついていて、二人きりになる時間というのは皆無でした。
姫と王子、身分を示すものの一切を捨てて二人で逃げたとして、無一文で生き延びれる線はとても薄いですし、家臣達も姫様を連れ去られる事を警戒していたでしょう。
そうして万が一旅が無事終えられた場合、姫様にとって繁殖するための子種は誰のものでもいいわけで……(子を作る意思はありませんでしたが)
彼は元から、交換が可能な盾パーツなんですよね。
父上が彼に下した命令と、父上が本当に遂行したかった内容が同じとも限りませんし
別の方に別の命令を下していないことは考えられません。
でも彼が命令を遂行できなかったのは事実ですし、どこを切り抜いても王子が諦めてしまう理由が存在するのですよね。
……どれを選んでも後悔するなら、ただ私の手を取ってくれたらよかったのに。
どう転んだとして、ターゲットが私なことに変わりはないのですから。
(それができる人がいたとして、それはりーくんだけなのでしょうね)
遅くなってからやっと授かった娘。
血に破邪の力があるといわれ、金や権力に一切興味を示さない、様子のおかしい娘。
私が金や権力を嫌ったのは、本物の愛情を知っていたからでしょう。
父上の厳しくもおおらかな愛情
奉公くださっていた皆様の愛情
金と権力を目当てにやってくる許嫁候補の男児達より、その方が好きだったのです。
幼心に、大変な所に生まれてしまったことは理解していて、平穏に生きることは難しい、どうせ自殺か他殺に終わる短い命だろうと覚悟をしていました。
最初に習うのは、自害の方法ですものね。
ですが……その覚悟をしていたにも関わらず大きな悔いが残ったのは
皆様にいただいた愛が真実であったこと、自分も皆様を愛していた証拠なのでしょう。
本来、愛情などという言葉とは程遠い、金と権力と欲と血に塗れた場所。
よりによってそこで、あえてそこで、私達は愛を唱った。
私は、私達が負けたとは思っていません。
理不尽に死に、幼くして計略に斃れた皇子皇女達の血が、人は思いやるものであるという今の価値観を作りました。
その血でもって、ああいうことは起こしてはならないと、絶対にダメだと、そういう事実を積み上げたのです。
父上の計略、お見事でした。
転生を経ても私には、誰がどうしてなんの目的で私に暗部をもってきたのか、まったく解りませんでした。
転生後の王子も喋らなかったんですよ、これっぽっちも。
私一人に絶対気取られないようにするには、私以外の全員が計略の概要を知っている必要があります。
姫様に何を言ってはいけないのかを知らなければ、言わないという行動が正しくできませんから。
そして、王子が計略を知らないということもありえません。
もし王子が知らなかった場合、子供二人でトンチキな行動をする可能性があります。
王子は何も知らない姫様を宥め、予定通り事が運ぶよう行動しなければなりません。
……ですよね?父上。
父上が王子に下した命令はきっとごくごくシンプルなもので
『自分の死を娘に伝えるな、追手が来たら全力で振り払え』
そんな感じのものだったのではないでしょうか。
彼がどこで何に諦めたのか、というのは諦める理由が沢山ありすぎて絞れません。
どう考えてもスタートから勝ち目が薄い上に、道中で姫様を身重にしたら死がもっと近づいてしまう都合上、彼が姫様の近くにいることも良くは思われなかったかもしれません。
いつもガチガチに護衛がついていて、二人きりになる時間というのは皆無でした。
姫と王子、身分を示すものの一切を捨てて二人で逃げたとして、無一文で生き延びれる線はとても薄いですし、家臣達も姫様を連れ去られる事を警戒していたでしょう。
そうして万が一旅が無事終えられた場合、姫様にとって繁殖するための子種は誰のものでもいいわけで……(子を作る意思はありませんでしたが)
彼は元から、交換が可能な盾パーツなんですよね。
父上が彼に下した命令と、父上が本当に遂行したかった内容が同じとも限りませんし
別の方に別の命令を下していないことは考えられません。
でも彼が命令を遂行できなかったのは事実ですし、どこを切り抜いても王子が諦めてしまう理由が存在するのですよね。
……どれを選んでも後悔するなら、ただ私の手を取ってくれたらよかったのに。
どう転んだとして、ターゲットが私なことに変わりはないのですから。
(それができる人がいたとして、それはりーくんだけなのでしょうね)