RECORD

Eno.249 情報屋の記録

珍事件⑤

『あ…お、おれは、おれは…』
「震えちゃってかわいそーに。さっさと帰んな。ここ出るまで今回は手出ししねぇようにしてやるからさ」

さっきまで味方だった人間がすぐに敵になる世界。
良いところのお坊っちゃんが来てはいけない、最底辺の暗い世界…

お前はさ、オレと違って真っ当なボンボンなんだから。ちゃぁんと親の跡継いで一生遊んで暮らせ。一応連絡先は教えておいてやっから、ここに戻りたきゃ連絡しな。ま、かかってこない事を願うけど

囁いて、すっとポケットへ連絡先を忍ばせて。
わざと突き飛ばすようにニセモンの肩に触れてから、周りに聞こえる大声で。

「さぁて、お坊っちゃんのおかえりだ!手ぇ出すなよ?無事にこいつが帰れなかったら即刻そいつの身包み剥がしに行って…首も貰うからなっ!」
『ひぃぃ!!!』

ニセモンは慌てて自分の世界へと帰って行く。
それを追いたそうにするものは何人か居たが、誰も追う事はしなかった。
情報を取り扱うオレの一声は、この“街”では相当な効力を持つ。ここまでのし上がるのに苦労したけど、いつこの効力が切れてもおかしくはない…そんな危ない世界がこの“街”だ。