RECORD

Eno.576 ELMERの記録

いのちのつかいみち

何も考えてない訳じゃない。
延命も、子の面倒も、私がやりたくてやっていた事だ。
だが腕の無い私では限界がある。熱の無い私では温もりを教える事など不可能である。
源星に生かされ、帰る場所すら見つけられず、ただ生きる意味としてムゥを世話していただけ。ただ、逃げていただけだ。

(意味など、とうに失っていたのかな)

ずるずる、と壁を背に座り込む。ルラキが立ててくれたテントも、独りだとこうも寒いものか。

……寒いなど、感じていないはずなのだが。

(幻覚だ。そんなもの、私は感じない)

体が寒いんじゃない。心が、寒い。命が、寒い。
……出来るならば、ムゥともっと一緒にいたい。が、きっとそれは叶わないだろう。

(……生きた、意味を…)

せめて何かを遺したい。その気持ちは、未だ。