RECORD

Eno.96 エリファズの記録

傭兵エリファズの苦難

座標
システシア王国崩壊後

Warp 待機中

ignition.


……承認されました



「団長が失踪した」
「今日でひと月。
世界中どこを探し回ったって居ない」

「エデン団長が、ファンシーな紙を
眺めているのを見た」
「……それが関係あるなんて、思ってないけど」


ふた月。見つからない。
み月。死んだんじゃないかと騒ぐ仲間。

……失って初めて気づいた、私たちは。
どれだけあの人に甘えていたのかを。

「サンドバッグにしていいって、
勝手に思ってたのよ」
「ええ身勝手よ。やってることが、
あのクソ国の奴らとなんら変わらなかった」

「どうしてそんなこと許してたのか、
私たちは一生分からない」



ついぞ見つからず、
団長としての指揮権は一時的に私に移った。

……誰もが言わないでいた、
永遠に、そうなるだろうという確信を。


???

座標
⬛︎⬛︎、レストランと想定



団長失踪から半年。
空虚なまま、私はがむしゃらに団長を務めた。

仕事の終わりだった。
やけに派手派手しい店を見かけ、そこに入った。

腹が空いていた。
そこからはいい匂いがしたの、
飯の匂いと、鈴蘭の香り。


「いらっしゃいませ、お客様!」


言葉を失うって、こういうことなのね。

探し求めていた人が、そこにいた。

「……あんた、冗談はよして。
もう皆充分反省した、私もそう」
「だから、帰ってきて、団長



沈黙。


「……何の話ですか?」

嗚呼、その目は侮蔑と恨み、
なんて宿していなかった。

無。


……そうしてようやく理解した。
私たちがかつて彼に向けていた目は、
これと同じだったのだと。




走って店を出た。
多分、泣いてた。


なんで泣いてたのか、私にも分からない。