RECORD

Eno.456 雛鳥の記録

後日談としての記録

「全くよ~、どいつもこいつも世話を焼かねば回らぬ奴らばっかりだな。」



灰色の空。
トレイのようなステージ。
やたらと長く白い布が被せられた茶会の机。


"夢幻"の魔女の住処はいつだって、モノクロの空色が広がっている。
色づいた試しはここ数千年、一度もない。
これは彼女の心を映した空そのもの。


退屈/停滞/アンニュイ/無為無聊


裏で手を引こうが。
世界を1つ作ろうが。
永遠に夢の空は灰色にしか満ちず。

だから、彼女は。
物語を渇望する、この鬱々とした空を少しでも色付けたいと。

「短い命のくせして死にたがりが多いもんだ。実に嘆かわしい。
そうだと思わんかね、アズールや。」


「…」



アズール、と呼ばれた妖精は。
魔女のすぐ真横、サイドテーブルに乗せられた鳥籠じみた牢獄に閉じ込められている。

「…おい…何だよこれ…」



それも、なんと。

何でボクがこの危険物と並べられてんだよーーーー!!!
殺す気かこの畜生!悪魔!魔女!!!!」


「僕をアイツと同じにすんなよ~。
別に大丈夫だって、今はほら、こんなにもかぁいいぬいぐるみだし。」


「さっきからずっとお前を殺したくて出ようと動いてんだよコイツ!!!!」



妖精の隣には、どこかの誰か・・・・・・に似たぬいぐるみ生物兵器が置かれている。
もちろん、ただのぬいぐるみではなく、魔女への殺る気と殺意と殺さんとする意志に満ち溢れており、飛び出そうと思えばきっと――

だ~か~らボクを巻き込むなよ!!!
謝っただろあの件は!!」



ガシャンガシャン

妖精はただただ巻き込まれたくないので、
柵を掴んで訴えるも魔女は涼しい顔をしてガン無視である!

「元の元を辿れば、ぜ~んぶお前のせい。
いくら"人"以外に優しい女神様だって、お前がこまりと一緒に卵をあの世界に持っていった~つったら、四つ裂きどころじゃすまねぇぞ。
あの女にお前とこまりを差し出さないだけ、感謝しろよぉ。」


「それは、その……つーかそんなに恐ろしいのかよ…」


「ぼかぁ神嫌いだからアイツの嫌な顔見る方が好きだけどネ!」



ケラケラ

「それに、ぬいぐるみソイツは大事にしてあげな。
大事な大事なおもちゃ"第二号"で、お前にとっての後輩だ。
僕は遊ぶ以外に教え込むつもりはないから、ここでのルールはお前らが教えてやれ。」


「嫌だよ…ルディぐらいだろ、こんな凶暴な奴の相手すんの。」


「ちなみに脱走したら連帯責任死なば諸共だぞ♥」


ふざけんなテメェ~~~~~~~!!!!



ガシャンガシャン





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「…ま、ある意味これで丸く収まったわけだ。
竜は眠るし、源星は生き続ける。"虚飾"が動けば、僕は愉しめる。」



結局のところ、どう振る舞ったって魔女は自分勝手な存在キャラクターだ。
宝くじが当たったぐらいの奇跡が落ちたぐらいで、
場面が違えば雷へと姿を変えるだろう。

この灰ばかりの空が、青にも赤にも変わるならば。
彼はどちらにだって、簡単に傾く。

「も~僕ってば働き者!最高だね。」



魔女は、魔女である。
努々忘れること勿れ。