RECORD
帰郷

「ふぅ…………」

「──AAAAXE!!!」

「TRUE MASSURU WORK……(薪割り中)」

<ズモモ……

「お祖父様~!!
ただいま帰りましたわ~!!!」ドシン

(HIPS PAIN)

「あら失礼、着地をミスってしまいましたわ~!
ま、これも可愛い孫の茶目っ気でしてよ!」

「MASSURU ALICE……
流石の俺もその体重で圧し掛かられると危ないんだがな……」

「いい加減その変な幼名で呼ぶのやめて下さりません!?
あとそんな重くないですから!まだギリギリ標準体重でしてよ!?」

「……こほん、まぁちょっと遅めのバレンタインという事で帰ってきましたわ!
お祖父様にもちゃんとお渡すものがございますのよ?」

(なんだかんだ期待してる顔)

「カタリ様からの大和チェーンソーですわ~!!
先日斧をお祖母様に処分されてしまった事を話したところ、なんとスペアをお譲り頂いたんですのよ!
ふふん、嬉しいでしょう?」

「……MASSURU ALICEからは無いのか?」

「ありませんわ」

「……そうか、無いのか……」

「それはそれとしてカタリからのプレゼント、非常に嬉しく思うんだが……
相も変わらず女らしさを微塵も感じさせぬ奴だな、まったく」

「人から物を貰っといてその発言はノンデリ過ぎませんこと?
そんなだからお祖母様に愛用してた斧をほとんど捨てられるんですのよ?
せいぜい可愛い孫娘のメイド服姿をその目に焼き付ける事ですわ」

「MAGO MAID STYLE……
XE XE XE……」

「毎度なんなんですその斧々しい笑い方は」

「して、どうだった、古部詩カタリという女は
なかなか筋の通った奴だったろう
少しはいい影響を受けられたんじゃないのか?」

「そうですね……お祖父様とどこか似ている方でしたわ
……良い意味でも悪い意味でも」

「そう褒めるな」

「貴方は褒めてませんわよつるっパゲ」

「……ま、お祖父様が気に入る理由はよく判りましたわ
ああも癖が強く、それでいて芯の通った方はなかなか見かけませんしね」

「その顔から察するに、それなりの成果を得たか
紹介して正解だったな」

「えぇ!僅かな間のやりとりでしたが、色々と学べる事がありましたわ!」

「それにしても本当に手強いお方でしたわ!
お祖父様がお世話になったというだけはあるというものです!
全ての技がお祖父様に匹敵するくらいの重みを持っていましたもの!」

「そうか………」

「いや~!まさかあの方も斧を扱われるとは思いもしませんでしたわ!
立ち姿に気圧されて、一瞬お祖父様と対面してるかと思うほどでしたのよ?
あれほどの使い手にめぐり合えて、お祖父様もさぞ楽しかったでしょうね!」

「……ルナサ」

「あぁでも、最後に一発お返しするくらいは出来ましたわ!
これでもお祖父様の孫ですから!
あの時の文字通り豆鉄砲を食らった表情、お祖父様にもぜひご覧になられて欲しかったです!」

「ルナサ」

「それで……それでですね……
まだあの方も、お祖父様も超えるのは難しいってはっきりわかって……」

「……彼奴に負けたのだな、それも力でなく心で
何も恥じる事はない、あれは強い
他の何よりも得難い敗北を……この俺に授けた女だからな」

「だから、強がることは無い」

「わだ、わたし……負けちゃって…………
勝ちだかっだ……!自分の努力が無駄じゃ、ないっで証明したかった……!
でも………届かなくって!
平穏を知らない私にっ そんなもの……作れないって一蹴されて…!」

「なにも命のやり取りだけが闘いではないからな
暮らしの中に身を置く事でさえも、すでに闘争足り得るのだ
だが………」

「よく闘った……!お前はもう立派に一人前だ……!」

「ズズ………はいっ…!
ワタクシ……もっとつよくなりますわ…!」

「そして……今度こそ負けませんからっ!」
無明に転ずる事無く、ただ真っ直ぐ光明へと。
少女の闘争は続いていく。

「フフ……もうMASSURU ALICEと呼べなくなってしまったな……」

「……それ、半人前に使う名前でしたの!?」