RECORD

Eno.456 雛鳥の記録

1日目

1日目。

ムゥはビーチへと連れて来た。
人々はこの地から立ち去ったのか閑散としており、ただ波の音だけがこの場に響いている。

ムゥは。
水辺より砂浜の方に熱心で、口に何かを咥えては私の元へとやってきた。

「ムー!」



これは何、と聞けば。

「カイガラ!テッカ、オシエテクレタ!
アカ、ママノイロ!」



そう。
はっきりとした赤ではないけれど、これは私らしい。
ムゥはその動作を繰り返し、夕方頃になれば貝殻の山が1つ出来たのであった。

嗚呼、ここはいつか。あの子と来た場所。
滅多に路地から出たくないと言い張る子が、私を気遣って連れ出してくれて。



それで。

それは、でも。

「ママ?」




嗚呼。

嗚呼。

あ、ぁ。




「ママ~?」



ごめんなさい、と口に出す。
今はムゥが傍にいるものね、眠りにつくまでに思い出を作ってあげなければ。

結局、海辺には夜まで居座った。
その内、ムゥが寝てしまったのでどこかへと連れて行ったのだった。